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ペット情報総合サイトPETPET-コラム【【特別寄稿】「モカ」〜悲しみの朝、感謝をこめて〜】

ペットコラム

【特別寄稿】「モカ」〜悲しみの朝、感謝をこめて〜

在りし日のモカ君

<PETPET事務局より>
 2001年7月から2009年12月まで、PETPETで「ペットと一緒に考えよう」を執筆してくださいました会田先生より、コラムにも度々登場した“アイツ”ことモカ君が、2010年6月8日に、虹の橋に旅立ったとのご連絡をいただきました。

 モカ君のご冥福を祈ると共に、会田先生より今回特別に寄せていただきました原稿を掲載いたします。



平成22年6月8日(火)の早朝は、何の変てつもなく、いつものようにアイツ(15歳・34㎏)の散歩を催促する一声で始まった。のんびりした歩調で20分ほど近所を一巡りし、排便、排尿を済ませ、戻ってリードを解き放ち、新鮮な水でノドを潤し、丁寧にブラッシングする。歩行距離や時間こそ往時の30%程に減ったが、寸分と違わぬ毎朝の生活リズムであった。それが、夕刻を迎え、月例となっている定期健診に訪れたところ、最も信頼を寄せるホームドクターの診断は、極めて深刻であった。苦渋の選択の末は、朝に紅顔あって夕べに白骨となる、と化した。 今(AM4:00)にして思えば、若干の異変は察知していたのだが、全ては後の祭りであった。しっかりしたベンなのだが黒ずみがちとなり、路上のオシッコの跡が容易に消えにくくなり、たまに水飯器には血が交じり、毛艶が急速に失われてきた等が然りである。およそ一ヶ月前の検診で発生が認められ、懸念していた悪性の黒色腫瘍がアッと言う間に顔を変形させるほどに腫れあがっていた。日々微量ながらも続いていた出血を、アイツが舐め取っていたために、気付くのが遅れてしまったのだ。 突然の無情な別離が、辛くないと言えばウソになるが、たとえ唯我独尊でも後悔はしていない。それは物理的には決して最高の居住環境とは言い難いが、あくまでアイツの目線でひたすらストレスの負担がかからぬように、一日単位ながらも精一杯に接してきたことは人後に落ちないと自負しているからだ。敢えて、人間の年齢に換算すれば、推定105才位に相当するはずだ。既に、満身創痍となりながらも、辛抱強く本当によく頑張ってくれた。 それにしても、今更ながらアイツの存在感には恐れ入る。身体がデカイだけでもいつも怠惰に寝ていたが、イザとなると特定の訪問者には迫力満点で猛然と吠えかかっていた。やがていつかは目に見えなくなり、心から消えていく日がくることも覚悟していたが、改めてお前の姿がいない庭を眺めると、この上もなく空しくなり、景色がにじんでくる。オイ、そろそろ小屋を出て背伸びを始める時間だぞ。いつものように、頼むから、もう一度だけでいい「親父、早く出て来い、散歩に行こう」と、野太い声で呼びかけてくれよ。 「モカ」素晴らしい思い出をありがとう。安らかに眠りなさい。平成22年6月9日財団法人 動物愛護協会常任理事 会田保彦