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ペット情報総合サイトPETPET-コラム【名犬伝説】

ペットコラム

名犬伝説

霊犬早太郎の像(撮影:会田保彦)

出張の帰途、遅い春を迎えたばかりの信州は中央アルプスのふもとに位置する「光前寺」を訪ねてきました。国の名勝にも指定された古刹で、近年は夜桜の美しさや庭の光苔が有名となり、しばしばテレビにも紹介されています。
ただし、目的は花見(未だ開花前でした)ではなく、当寺に祀られている「名犬早太郎」の墓を御参りすることでした。本堂の回廊には威風堂堂とした木彫りの早太郎が鎮座し、その横に苔むしたお墓がありました。いわゆる動物霊園のそれではなく、いかにも人々の畏敬の念を思い起こさせる風情があり、ようやく念願が叶ったところです。それは、今から700年ほど前のことです。光前寺には早太郎というクマやイノシシにも負けないという大変に強い山犬(日本オオカミ?)が飼われていました。ある年、遠州(静岡県)の村人を苦しめていた怪物退治を頼まれて、見事に征伐はするのですが自らも深手を負い、ようやくたどり着いて和尚さんの胸に抱かれながら息を引き取った、という伝説に興味が引かれていたからです。現代の犬たちはペットとかコンパニオンアニマル(伴侶動物)としてもてはやされていますが、古来から人と犬が関わりを持った原点は、あくまでも犬の賢さ・強さにあこがれたことがきっかけだったはずです。即ち、狩猟犬、護衛犬、番犬であり、いずれもが使役犬として、それぞれの時代の人間社会のパートナーとしての役割を果たしてきました。かって、モノクロテレビの前に陣取り“名犬リンティンティン”や“名犬ラッシー”の活躍に一喜一憂したものですが、まさに早太郎も賢さ・強さの代表であり、だからこそ地元の守り神として長い歳月を親から子へと語り継がれてきたのでしょう。ここまで書いてから、2階のベランダで一服つけると、庭でグッスリ寝込んでいたアイツ(6才・36Kg)が臭いを察知してムックリと起き上がり、こっちを見ながら散歩の催促です。体ばかりでかくて甘ったれた迷犬です。飼い主のせいで仕方ないかな。財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦