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ペットといっしょに考えよう【】写真
それがアイツ(11才・33Kg)にとって、権利なのか義務なのかは定かではないのですが、いつも喜び勇んでシッポを振りながら早朝の散歩に出掛け、終えるとケネルにこもって安穏にまどろんでいる姿を垣間見ると、果たしてアイツは自分の環境に満足(?)してくれているのか、聞いてみたくなります。

新約聖書では、「人はパンのみにて生くるにあらず」と、精神生活の重要性を述べていますが、ならば「犬もまたエサのみにて生くるあらず」と、信じたいのです。


 それと言うのは、たまに散歩で出合う同犬種(7才・オス)と飼育環境があまりに違うからなのです。聞けば、マンションの室内飼いで、夜間は毛布の中に湯タンポを使用し、抜け毛がひどいのでブラッシングも控え目で、当然ながら外で見かける時はいつも防寒コートを着用しています。それでいて、いつもアイツの毛艶をを羨ましがりますが、外飼いで小屋の床に玄関マットと毛布を敷き、入口は風避けにジャンパーを被せただけの環境と比べて、どうなのでしょうか。犬の習性に関する心酔して余りある一説をご紹介します。「この利己的な世の中で、人が持ち得る唯一の絶対に非利己的な友は犬であります。常にその主人の味方であり、寒風吹きすさび雪が狂い降る時にも、主人のそばにいることさえ出来れば満足するのです。(抜粋)」。決して、独りよがりの自己弁護ではありません。要は、犬の目線による日頃からのきめこまかいケア次第であると思います。

 マンション・戸建てを問わず、住宅販売広告のコピーは「アメニティ」が定番ですが、過日の出張ではそれを真に具現した素晴らしい現場を拝見することができました。山陰の県庁所在地で郊外の山里にある1200世帯の戸建分譲住宅なのですが、何とブロックや石の塀は皆無(禁止)で、全世帯が生け垣なのです。街路樹こそ小高木のサザンカで統一されていましたが、各敷地内は落葉樹か花ばかりで見事なまでに清潔で壮観でした。木の実がふんだんにあるのでしょう、雪道を歩けばヒヨドリ、ツグミ、ムクドリが入り乱れて飛び交います。一方、かって首都圏にある同様の住宅地を訪ねた時はガッカリしました。折角の公園は犬や猫の出入り禁止、植栽は常緑種のみで芽吹きや紅葉の美しさとは縁がなく、各戸の豪華な石塀にはスプレーの落書きが満載、ゴミの集積所や道路も乱雑でした。そして、住民の動物問題をきちんと解決できたのは前者です。快適さの尺度は難しい。

 季のうつろいとともに大気もゆるみ、まもなく啓蟄を迎えます。土や水や風がいっせいに温もりを醸し出してきました。反面、真っ青な青空を鋭く切り裂いていた真っ白な富士の稜線がピンボケのようにボンヤリし始めてきたのは残念ですが、アイツ共々に風邪も引かずに健康で冬を乗り越えられたことに感謝しています。

財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦

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