ペットといっしょに考えよう
雑草
それと言うのは、今年に入り典型的な冬型気圧配置の日本海側地方にたびたび出掛け、太平洋側との気候の格差を如実に感じたからかもしれません。案の定、ニュースでは各地の桜の開花ぶりや高校野球やプロ野球の球春が賑やかに報じられ、身の回りでも肌で春を実感したところです。<br> その実感とは、草むしりをしたことです。梅がすっかりほころび、ボケが咲きだし、沈丁花がほのかに香る中、薄手のセーターをまとい一心不乱に取り組みました。先日来、冬枯れの小さな庭にオオイヌノフグリやナズナがいささかの緑を施してくれていましたが、気が付けば名も知らぬ雑草たちが結構はびこってきたのです。いよいよ雑草とバトルが始まり、これから晩秋の頃まで続きます。しかし、この格闘は苦痛でもなく、決して嫌いではありません。何故か、草をむしりだすと、いつの間にか夢中になり、何も考えずに専念する時間が心地好いのです。そして、「花と咲くより踏まれて生きる、草の命が俺は好き」と歌われたように、そのたくましさにどこか畏敬の念を抱くせいかもしれません。この間、アイツはと言えば、傍らで静かに瞑想(?)に耽っています。寝ていない証拠には、草を求めて移動するたびに、いつの間にか擦り寄って来て同じポーズをしています。<br> 一方、3月の初旬に訪れた山形県鶴岡市がなつかしく思い起こされてきます。ご当地関係者のご配慮で心から満足できる講演旅行でしたが、更にご案内いただいた郊外の風景が強烈でした。初めて目の当たりにした出羽三山の一つである羽黒山の豪雪や果てしなく続く真っ白な野面と遠くに望む銀雪山塊の美しさが然りです。特に、ほどなく最上川に合流する付近の、清烈な赤川の流れの中に群れ集う白鳥たちの姿は、まさに一幅の名画を見ているかのようで、夢中でシャッターを押しました。そして、落葉の頃に飛来し、桜も待たずに去っていく、冬の使者たちの無事な北帰行を祈らずにはいられません。<br> ところで、以前から気になっていたのですが、件のオオイヌノフグリの名前の由来についての疑問です。正式な学名とは思いますが、あまりに奇異すぎます。あの淡青色の可愛い小花が、何故に大型犬の陰のうとよばれるのでしょうか。ベッタリ付き添っているアイツを横にして確かめようとしたのですが、とうの昔に摘出済みで叶いませんでした。<br> <br> 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦 |
|