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ペットといっしょに考えよう【「ヒナを拾わないで!!キャンペーン」ポスターより】写真
「ヒナを拾わないで!!キャンペーン」ポスターより
八十八夜も間近、お茶の新芽が色鮮やかに出揃いました。;

近隣の生産農家では遅霜の低温被害に備えて、昼間は茶刈機が爆音をたてながら脇にはみ出した枝を整え、夜間は扇風機で畑を換気しながら一定の温度の保全等、手入れに余念がありません。多分、そのせいで居所を失ったのでしょうか、このところしばしばタヌキが目撃されています。

 いつぞやは、アイツ(11才・33Kg)との散歩中、わずか7〜8mまで接近したのですが、根っからフレンドリーなアイツは全く敵意も見せず、タヌキもまた、しばしたたずみ見つめ合った後、脱兎のごとく走り去りました。濃いグレーで豆柴犬ほどの大きさですが、毛並みはツヤがあり、意外とスリムで俊敏なので安心いたしました。とかく、近郊に出没するタヌキは、餌付けされて人間の残飯を学習するため、メタボ(?)になりすぎて動きが鈍く、輪禍に遭遇するケースが多いからです。その後には、畑の一隅でためぐそ(糞)まで見つけました。タヌキ特有の習性で、仲間たちとのコミュニケーションの場となっている共同トイレなのですが、彼等が健全に生きている証でしょう。

 同様に毎年のことですが、バードウィークの前後は野鳥のヒナを保護したとの相談が相次ぎます。飛べないヒナが路上にもがいているのは、とりも直さずにその真上付近に巣がある証拠なのですが、やさしい気持ちばかりが先行する当事者はそのことに思いが至らないのでしょう。冷静に対処しようとするならば、小さな器(例えば、カップラーメンの空容器等)に入れて最寄りの樹上にヒモで吊していただきたいのです。親鳥が見つけて対応するはずです。原則として、野生鳥獣にはできるだけ人間が手を触れない方が好都合なのです。それが自然の理(ことわり)であり、その過程を経てこれまで動物たちは進化を遂げてきたのです。

 事実、人間は長い歴史のなかで多くの野生動物の家畜化を試みてきました。しかし、哺乳類で家畜になったのは、全5000種の内でわずかに10〜20種程度ですし、鳥類でも全9000種の内で10種に満たないのです。野生動物を飼いならすことは容易ではありません。だからこそ、既に家畜化されてきた犬やねこたちは野生動物界(自然界)からのメッセンジャーとしても貴重な存在であり、いったん人間社会に取り込んだ以上は、飼い主の責任として終生にわたり適正に飼わなければならないのです。


財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦

※「ヒナを拾わないで!!キャンペーン」については、(財)日本野鳥の会 ウェブサイトをご覧下さい。

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