
ペットといっしょに考えよう
動物たちの健康と安全
前回の本欄で、ことさら暑さに弱いアイツ(12才・34Kg)について一抹の不安を記したところ、早速に読者の方よりお見舞い状までいただき恐縮しています。お陰様で凄まじい格好ながら、何とか息をついていますのでご休心下さい。それと言うのは、日中は庭に放されて柿の木の下に掘った穴を定位置に横になっているのですが、ヒマさえあれば気化熱(?)による涼を求めてなのか両前足をなめるため、そこに泥がこびりつき絶えず真っ黒なのです。見てくれはともかく、アイツなりのクールビズなのでしょう。 人も動物もいささか辟易しているところですが、今しばらく話題を続けます。ちょうど7年前のこの時期の昼下がり、中央本線で岐阜県東部の多治見駅に降り立ちました。何の変哲もない地方都市の駅前ロータリーで、頭上の電光掲示板を見上げた時はビックリいたしました。何と、気温が38.8度を示していたのです。日付も時間も機器は正確に作動 していました。俄かには信じ難く、ポカンと口を開けて汗を拭ったことを覚えています。それが今では、テレビニュースでもスッカリお馴染みとなり、かたや埼玉県の熊谷市と並んで全国猛暑地の西の横綱と称される始末です。因みに、当該地には本協会の岐阜県支部があり度々出向きますが、願わくば周囲の山々が色づく実りの秋に「美しい農村風景」の日本一に輝いた近くの田園地帯を巡りながらのんびりと訪れたいものです。 閑話休題。ここで動物愛護家の皆様に朗報をお届けいたします。未だにご記憶の方もおいでかと存じますが、旧年の春に米国で発生した特定(中国産原材料を使用)ペットフードによる犬・ねこの死亡被害は、我が国でも多くの飼い主が震撼させられました。この背景を受けて、本年6月に「ペットフードの安全確保に関する法律」が制定されたのです。その目的は、ペットフードの製造などに関する規制を行うことにより、その安全性の確保を図り、もって動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与することとしています。今後は、基準や成分に関する規格等の細則と施行が待たれますが、ともあれご同慶の至りです。 もとより、動物たちの健康と安全を守ることは飼い主の当然の義務ですが、特にこの季節は暑さ対策、ペットフード対策ばかりでなく、飼い主の留意点は他にも沢山あります。今が盛りの美しい百合の花でさえ、その一例なのです。ある種のユリ科(彼岸花など)の根には強い毒性を有するものもあり、犬にとっても危険だし、ましてや猫にいたっては、根どころか花も茎も花粉でさえ食すれば死に至ることがあるのです。 かつて、キャッチコピーコンクールの最優秀賞(環境大臣賞)に「老犬と歩調をあわせる散歩道」という作品が選ばれましたが、アイツとの朝晩はまさにこんな調子で過ごしながらお互いに労苦をねぎらっているところです。そして、今年の上記コンクールは「まもれますか?ペットの健康と安全」をテーマに審査会が開かれますが、既に多数の応募作品が寄せられています。飼い主の啓発につながる味わい深いコピーが楽しみです。 財団法人 日本動物愛護協会 理事・事務局長 会 田 保 彦 |
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