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ペットといっしょに考えよう

秋色
ペットといっしょに考えよう【】写真
いつもの公園は、ハナミズキ、ユリノキ、ポプラと、低い木から順に紅葉が染め進み、早くも樹間には落ち葉が積もり始めました。

およそ1ケ月後には周囲の雑木林にも達するはずです。秋色の深まりにつれて、アイツ(12才・34Kg)の体調も戻りましたが、各部品(?)の衰えは相変わらずで、毎朝のブラッシングでゴッソリ抜ける毛の量は半端ではありません。全て老齢のなせる仕業なのですが、考えてみれば秋色と表現される木の装い自体が、ある種の老化の現象であり、願わくばこのように美しく老いたいものです。

 実は、かねてよりささやかな夢の実現を目指しています。40余年間に及び、いつも元気一杯に仕事バリバリ、遊びモリモリと走り続けてきましたが、現役をリタイアした暁には、アイツと連れだってのんびりと車で全国一巡りをしたいと思っています。例えば、春なら沖縄の石垣島に渡り、星の砂の上で昼寝をしたいし、夏には信州の高原に行って、緑陰の涼風を満喫したいし、秋には北海道の大雪山を皮切りに、紅葉前線と追い駆けっこしながら本州まで南下して来たい。そして、冬には温暖な伊豆半島で、海を眺めて過ごしたい。もちろん、温泉とお酒と新鮮な海の幸、山の幸が必須条件であることは当然です。

 ところが、思惑とは裏腹に容易にことが運びません。今のご時世で幸なのか不幸なのかは不明ですが、兎にも角にも様々な仕事が雨アラレのごとくに降り掛かってくるのです。もとより、長年にわたり動物でメシを食わせて頂いたのですから、その恩返しに微力を尽くすのはやぶさかではありませんが、能力的にも物理的にも遥かにレベルを越えているのです。ソフトランディングで静かに消え去る積もりでしたが、引き際に苦慮しているありさまで、所詮は身から出た錆とは言え、悩ましい限りです。

 そんな惑いのさなか、アイツのサプライズにビックリさせられました。夜の散歩途中、小さな草原でノーリードにしたところ、ヨタヨタながらも真っすぐに10メートルほど先のブッシュに突き進み、一瞬の間に、硬式テニスボールをゲットして戻ってきたのです。全んど嗅覚だけのパフォーマンスのはずです。往時は、庭中がボールだらけになるほど夢中で拾い集めていましたが、いつしか興味を示さなくなり久しぶりのことでした。親父の心境を察知してか、為せば成るを証明するとともに、美しく老いたごほうびとして元気なうちに日本一周の旅に出かけるよう、決断を促されている気がいたしました。


財団法人 日本動物愛護協会
理事・事務局長 会 田 保 彦

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