ペットといっしょに考えよう
アミニズム
一気に冬の装いをまといアイツ(12才・34Kg)との散歩に出掛けながら、何気無く夜空を見上げてビックリです。認識可能な星座のことごとくが顔面に向かって降り注いでくるのです。とりわけ、オリオン座の三ツ星の端正な輝きは凄かった。いい歳をして、いまさら星空に感激するなんて、と訝られるのがオチなのは百も承知ですが、そんな季節になりました。 青森県と言えば、およそ一万年前に逆上る縄文時代の三内丸山遺跡が有名ですが、ご当地にはこれまでに3回ほど訪ねています。あの竪穴住居の前にたたずむと、決まってまほろばの里が彷彿としてきます。ただし、もとより考古学とは無縁で、いつもながらの子供じみた独り合点のロマンにすぎないのですが、太古からの悠久の営みに誘われるのです。例えば、竪穴入口の栗の柱には「会田保彦」の表札(?)を掲げて、海で魚介を求め、山野で鳥獣を追う、そんな狩猟採集生活に強く引かれるのです。更に、当時の墳墓からは人とイヌが折り重なって発見されているのです。縄文人にとってもイヌは心の友だったのでしょう。そして、日本列島は七万年前の氷河時代には中国大陸と地続きで、その半島にすぎなかったのですが、やがて地球温暖化の影響により氷が解けて海水面が100メートルも上昇した結果、現在の日本の地形(島国)ができたのだそうです。すると、津軽海峡の成り立ちや三内丸山に縄文の人々が住み着いた必然性がおぼろげに見えてくるのです。 一方、現代社会は豊さの陰で、心の荒廃がもたらせる凶悪な事象が横行しており、その原因の一つに人間と自然界との離脱があげられています。それも単に離脱するだけではなく、自然を破壊して征服すべき対象として扱うのですからひどいものです。即ち、生物多様性の保全を無視した自然破壊は地球破壊そのものなのです。かって、山川草木や野生動物に対して深甚なる畏敬の念を抱いて、自然環境と同化しながら暮らしていたネイティブアメリカン(米国)を始めとするイヌイット(アラスカ)、アボリジニ(オーストラリア)などのアニミズム(原始宗教)を信奉する原住民の方々がいました。今こそ、彼等の英知と大きな心の豊さを学ぶ必要がありそうです。今、まもなく就任するであろう初物づくしの大統領のチェンジ施策が注目の的です。炭酸ガスの排出量削減規制は経済成長を妨げる、との従来の方針を撤回し、緑の内需拡大で不況と温暖化の克服を目指すからです。 今年のカレンダーもあと1枚を残すばかり、各地から頻繁に冬の便りが届いてきます。穏やかな小春日和の昼下がり、日向でまどろむアイツにブラシをかけながら振り向くと、すでに冬枯れの庭で、唯一、咲き残っていた淡い紫色の小菊がわずかな風にかすかに揺れていました。 財団法人 日本動物愛護協会 理事・事務局長 会 田 保 彦 |
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