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動物愛護の原点
念願の青森県・三内丸山遺跡を訪ねました。古代縄文人の動物との係りの深さは、動物愛護精神の原点とも言える物です。現代社会の抱える問題点を解決するヒントは、もしかしたらここにあるのではないでしょうか。

束の間の時間をやりくりし、念願の青森県・三内丸山遺跡を訪ねました。
近くまではたびたび足を運ぶのですが、いつもトンボ帰りばかりで、あたかもノドの奥に刺さったままの小骨のように後をひいていましたがようやくつかえがとれました。そして、遺跡現場に立った感想は(?)、すでにご覧になった方も多数おいでの_でしょうし、詳細はパンフレットにもていねいな解説がなされていますので横においておきます。むしろここでは、さして考古学に興味があった訳でもないのに、なぜこれほどまで引きつけられてきたのか、その動機について触れてみたいと思います。
それは、一にかかって古代縄文人の「狩猟採集生活」へのあこがれと動物たちとの係わりを調べることにありました。今から5000千年前、未だ人類が農耕も牧畜もしていなかった時代の人々の暮らし振りに思いを馳せることは、時空をこえて悠久のロマンを感じるからです。山野を駆け巡り鳥や獣を狩り、木の実を採取して家族を養っていく。遥かに津軽海峡を望む丘陵で目を閉じると、生きること(生活)と生産すること(仕事)が完全に一体となっているシンプルでたくましい彼等の姿が彷彿としてきます。その後、家族単位の生活は次第に集落を構成するに至り、共同作業の成果も各所に散見されています。同時に、自然と共生しながら生きることの支えとして宗教的(祭祀的)な儀式が日常生活の中に取り込まれてきました。祭られた対象には、当然ながら動物たちも含まれており、発掘された出土品からも多くの土偶や絵柄に残され、人と動物の係わりの深さをしのばせています。
自然と共生し、そこに生息する動物たちに畏敬の念を抱くとともに、併せて衣・食・住・の恵みを享受する。ここでは動物たちに対する乱獲や無用な虐待は皆無であり、いささか原始宗教的ではありますが見事な動物愛護精神の原点が存在しています。
翻って、現代社会に目を向ければ、機会文明の際限ない発展とは裏腹に、否、当然の報いなのか多くの人々がストレスに悩まされ精神的な拠り所を見失っている。ここから派生する諸問題の解決には、縄文人が発信するメッセージがかなり有効かと考えますが、皆さんはどのようにお思いですか。
財団法人日本動物愛護協会理事会田保彦

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