ペットといっしょに考えよう
動物に関わるメランコリーな人たち
しかし世相に顔を向けると…。政治、経済そして人と動物との関わり、世相の反映とはいえ情けない限りです。本格的な春の到来が心から待たれます。 梅もほころび始め、明るい陽ざしが春の訪れが近いことを告げています。 犬の散歩がてら、予め目星を付けていた枯草を掻き分けると、案の定、フキノトウが顔を見せました。手に取れば、ピチッとサヤにくるまれた蕾は独特の香りを発し、まさに早春の息吹を実感いたしました。アイツ(オス4.5才・体重34Kg)を少し鍛え直してフキノトウ探知犬にでも仕立てようかな…。 しかし、いったん世相に顔を向けると、何とまあ政治も経済もそして教育もおぞましい事ばかりの連続でニュースを見聞していては開いた口が塞がるヒマもない。旧年末に享年104才で身まかられた加藤シズエ先生が、2年ほど前にお目通りの際「会田さん、日本人はいつからこんなに自信をなくしてしまったのかねー。いつも目先のことばかりにとらわれてオドオドしている」と嘆息されていたことを思い出します。 人と動物の関わりについても全く同様です。本会には、やはり開いた口が塞がらないような情報が引きも切らずに飛び込んできます。例えば、①再三の行政指導にもかかわらず犬500頭・猫300匹を飼育して近隣に多大な迷惑をかけ続けた飼い主がテレビで紹介されるや、すかさず「心優しい善行者なのだから助けててやってください」との電話やメールを送りつけてくる偏向的動物愛護者、②「預かった犬にダニがいたので、消毒のため営業休止を余儀なくされた」とのことで預けた飼い主に750,000円の損害賠償請求の提訴を行ったペットホテル経営者、③小学生が大事に飼っていたハムスターが病気になり、治療をお願いしたところ「こんな病気は治療するまでもない。処分してあげるから別なハムスターを買い直しなさい」と愚かなご託宣で、子供の気持ちをズタズタに引き裂いてしまった動物病院…。 枚挙にいとまがないし、このあたりで止めますが、感情だけの未熟な動物好き、暴利を貪る動物取扱業者、そして倫理観のスッポリ抜け落ちた獣医師たちの所業の数々です。一握りのレアケースであることを願うのですが、実は残念ながら氷山の一角であり、いかにプアーな世相の反映とは言え、情け無い限りです。 もとより人と動物は、健全な常識の中ですべからく穏やかで心豊かな関わり合いを持つべきであり、そんな社会の実現と本格的な春の到来が心から待たれます。 財団法人日本動物愛護協会理事会田保彦 |
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