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ペットといっしょに考えよう

自然と共生
「2月が足早ににげてしまった。」などとひとりごとながら、例によってアイツ(5歳・35kg)と夜更の散歩をする。

今夜は輝く夜空もピリッっとする冷気もなく、キルティングと手袋の重装備もジャンパーと素手に変り、いかにも春の到来を思わる。ほのかに農家の庭先から漂う梅の香りを妙になまめかしく感じながら生垣の角を曲がると、何と、茶畑がなくなっている。昨晩までは確かにあったのだが、たった一日でおよそ3000坪が更地に化けてしまった。多分、150年以上にわたり営々と生産してきた茶畑かと思うと、ひとごとながらつらい。香り「静岡」・味「狭山」とうたわれている茶処に移り住んで15年。この間、身の回りだけでもどれほど多くの畑と雑木林が失われたことだろう。開発をすべて否定するものではないし、自分自身も結果として加担してきたかもしれないが、このような流れはいつ、誰が、どこで歯止めをかけられるのか。

開発と言えば、かつて先住民族であるアイヌの人々は、“土地を所有する”という意識がまったくなかった由。そして、自然界は自分たちの狩場(トラップライン)であり、そこに存在する多くの動植物は衣・食・住の生活を支える拠り所として、大事に子孫に受け継いできた。即ち、自然を破壊することは、派生する果実を失うことであり、民族の滅亡につながると理解しているのだ。何とシンプルで貴重な哲学なのだろう。

通い馴れた散歩コースの急変に、アイツも勝手が違ったようだ。しきりと臭いをかいでいたが、やがてガックリ(?)と肩を落し、トボトボ歩き出した。しかし、よーく見るとキ骨(肩の上部)の筋肉は盛り上がり、過日の検診でも体重が1kg増えてドクターストップがかかったところである。日頃の健康チェックは怠りなく、運動も十分なのだからさもありなんと納得したが、そういう飼い主もまた、快食・快便・快眠をモットーに40年来のオーバーウェイト(70kg)ながら健康そのものである。
一寸先は闇かもしれないが、所詮は単細胞の似た者同士なのだろう。
マアーいいか、今が元気ならば。

(財)日本動物愛護協会理事会田保彦

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