ペットといっしょに考えよう
動物の健康チェック
前月末、新潟県に出張した際の一駒です。上越国境の高い山並みの上には、真っ青な空に白い雲が浮かび眩しい陽光が降り注いでいました。 この間、関東地方は連日、降りみ降らずみのうっとうしい天気が続いて傘が手放せず、いつ明けるとも知れぬ梅雨前線の真っ只中にスッポリとはまっています。庭の外飼いで長毛のアイツ(5才・36Kg)は自慢のゴールドな毛並みも薄汚れて滴をしたたらせ、まるでカピパラ(南米原産の大型げっ歯類)のような風情です。 しかし、それでも当然ながら朝晩の散歩だけは欠かせません。必要な運動であるとともに、大事な健康チェックの機会だからです。毛艶はともかくとして、目の輝き、息遣いそして何よりも肝心なのは排便の具合です。幸い、飼い主に似て食欲も極めて旺盛で、目下のところ異常ありません。 毎日のことですが、本協会には全国から沢山の動物の相談電話が殺到し、病気や健康に関することも少なくありません。例によって獣医さんとのトラブルもありますが、その他では自分が飼っている動物の体調不良を訴えてくるのが然りです。ただし、ラジオで耳にする人間の医療相談とは違い、相手は物の言えぬ動物であり、何よりも飼い主自身が残念ながら動物たちのことを知らな過ぎるケースが極めて多くあります。心配な気持ちは理解できますが、所詮は電話で解決できる訳ではありません。中には気の毒ですが、既に手遅れのレベルと思われることすら見受けられます。 ご存じのように、改正「動物の愛護及び管理に関する法律」では、特に飼い主に対して動物の疾病についての知識を持つように努めなければならない、と掲げられています。それでこそ動物たちの健康と安全に責任を果たすことができるからなのです。仮に、100歩譲っていささか知識が心許無くても、せめて日頃の健康チェック(前述・散歩における4項目)だけでもきちんと励行して下さい。さらに高温多湿なこの時期には、外部寄生虫(ノミ、ダニ等)の発生も多く、特に注意が必要です。まさに、“予防は治療に勝る”の格言通り、飼い主のきめこまかい愛情と予防チェックこそが動物の健康を守ることになるのです。 帰路のトンネルを抜けると、夕暮れのほの暗い関東平野は、相変わらずこぬか雨が降り続いていました。田植えを終えたばかりの水田農家にとっては恵みの雨でしょうが、しみじみとスカッとした夏空が恋しくなります。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
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