ペットといっしょに考えよう
オオカミ
最初のきっかけとなったのは、たぶん児童文学全集の「狼王ロボ」をむさぼり読んだことの影響だと思います。ひたすらに、その強さ、賢さ、そしてやさしさに憧れたことを覚えています。 その後は、日頃から大変にお世話になっている作家の戸川幸夫先生の動物文学に接したことで拍車がかかりました。群れ動物の習性、たぐいまれな狩猟能力、そして家族の強い絆を学ばせていただきました。 そして今では、絶滅の危機に瀕しているというノスタルジアもさることながら、アイツ(5才・36Kg)との日常生活を通じて、先祖である「オオカミ」との比較や探究心で興味は尽きません。例えば、排泄行為、スキンシップ、リーダーへの忠誠心、そして時には痛い目にも遭いますが本能を丸出しにした威嚇行為などの体験です。言わば、アイツは「オオカミ」の身替わりであり、自然界からの貴重なメッセンジャーなのです。 しかし、いくら惚れていても「オオカミ」を飼いたいとは思いません。せめて海外を中心に収集した資料をひもとき、余生のライフワークにするだけで十分です。と言いますのは、近年のアメリカでは、一部のマニアックの間で狼犬(ハーフ又はクォーター)が密かなブームとなり、それに伴い、不適正な飼養の結果として咬傷事故が激増している現状があります。単なる物見高い趣味にすぎず、およそ動物愛護とは馴染まない関わり合いであり、尊敬してやまない「オオカミ」種を冒涜してむしろ劣化を招いているからなのです。こんな風潮が日本にも及んできたとの情報に接し、ひそかに杞憂している次第です。 人と動物が仲良く上手に暮らせる心豊かな社会を実現するためたには、動物に対する正しい理解と関心が必要です。この夏休み、胸を躍らせる動物文学へ挑戦してみませんか。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
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