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動物の視点
気がつけば、日脚がグーンとのびて球春も間近、暖かい陽光が待ち望まれます。
つい最近のことですが、お年玉のつもりでアイツ(6才・36Kg)に念願の木造新居(コテージ風ワンルーム)を奮発いたしました。これまでの大型中古バリケンと比べて一挙にグレードアップしたところです。


うれしくてはしゃぐ主人を横目に、当のアイツはと言えば、ハトが豆鉄砲を喰らったような顔付きでしばし当惑していましたが、今ではスッカリお気に入りの様子でくつろいでいます。

ところで、散歩のみちすがら少々気になるケネルがあります。それは、こぎれいな芝生の庭に堂々と置かれているのですが、まるで動物園のポニーの小屋のように巨大(しかもバルコニー付き)なものながら、肝心の住人(犬)は小さなスパニエル種一匹なのです。飼い主の「心根」は分かる気がしますが、「心得」としてはいささか腑に落ちません。多分、住居もケネルも広ければ広いほど、より快適と思い込まれているのでしょう。

同様に、本協会に寄せられる沢山の心やさしい方からの通報の中には、近所の大型犬が身動きできないほどの小さなケネルで飼われ、明らかに虐待ではないのかとの抗議が含まれています。しかし、決して狭いからダメというものでもありません。

犬たちの遠い祖先であるオオカミを思い起こして下さい。彼等の巣穴というのは、日当りの良い東南斜面の岩場を選び、そこは巨大な身体に似合わぬ実に狭い入口しかなく、中の様子も親子が身を寄せ合う最小限度の広さしかありません。だからこそ、湿気が少なく、天敵から子供が守られ、自らの体臭に包まれて安心できるのです。そして、これらオオカミの生態(生息場所、行動時間等の生活様式)は大なり小なりすべて犬たちにも受け継がれていることなのです。即ち、問題は飼い主が一方的に与えるケネルの面積ではなく、犬にとって衛生的でかつ安心できる寝所こそがベストなわけです。

心豊かなペットライフ送るために、飼い主は動物達の健康と安全に責任を果たさなければなりませんが、そのためにはまず当該動物に関する知識を習得するとともに、動物の視点にたった清潔で心地よい寝所と新鮮でバランスよい給餌に留意しなければなりません。

財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦

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