
ペットといっしょに考えよう
きめこまかい観察
しかし、この間は、季節のうつろいが目で、肌で最も実感できる時期でもあります。フキノトウはいつしか小さな葉を広げ、タラノキのてっぺんにはおいしそうな芽が艶やかに輝き、そして満員の通勤電車では、早くも窓開けに協力依頼をする放送が流れています。 それかあらぬか、アイツ(6才・36Kg)の散歩ぶりも微妙に変わってきました。いつもの急な坂道を登る時には一段と息遣いが荒くなり、何より戻ってきた後に飲む水の量が1.5倍に増えています。できることなら、もっと薄手の毛皮に衣替えさせてあげたい気持ちになります。 ところで、このところアイツの左眼がいささか黄濁してきました。目下、月に一度はホームドクターのお世話になり、慎重に様子を見ているところですが、白内障のおそれもあるかもしれません。ただし、6才と言えば男盛りで毎日が元気一杯だし、考えてみれば犬はもともと動く物体への視力は極めて優れており(推定動体視力は4.0)、一方の静止物体については鋭敏な嗅覚を駆使して視力以上の判別能力があると言われています。事実、投げたボールはきちんとキャッチするし、夜の公園では暗闇の植え込みの中からも獲物(硬式テニスボール)を捜し出しては嬉嬉として持ち帰り、お陰で狭い庭にはいたるところにボールが転がっている始末です。決して、横着をきめこみ楽観するつもりではありませんが、アイツが犬として生きていくうえで特に支障を生じないかぎりは、あまり神経質にならずに見守るつもりでいます。 相変わらず、本協会には相談電話が殺到しており、中でも厄介なのが医療に関する内容です。所詮、電話で病気の治療ができるわけではなく、まず獣医師にきちんと診せるのが先決のはずにもかかわらず、とりあえず気休め(?)に尋ねてくる方が後を絶ちません。昨年の5月に環境省より告示されました「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」においても、飼い主の病気に対する知識等“飼養及び保管に当たっての配慮”が強く求められています。即ち、動物たちの生命(健康と安全)を守るために、飼い主は単に感情だけではなく、応分の予防知識が必要なのです。それには、日頃からのきめこまかい観察が大事でしょう。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
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