
ペットといっしょに考えよう
幼児教育
しかし、いつもアイツ(6才・36Kg)と散歩をしながらほほえましくながめているが、何かが欠けていて物足りない。夏休みだと言うのに、真っ黒に日焼けした元気一杯の子供たちの姿が皆無なのである。かつて、そこが老いも若きもが入り混じる早朝の社交場だった頃の思い出がなつかしい。勉強のせいなのか、テレビのせいなのか子供たちの生活が夜型に変化してきたことは承知しているが、何故、地域ぐるみの行事に参加させないのだろうか。大人の方が妙に遠慮して子供を誘わず、自分たちだけの解放感に浸っているかのような気がしてならない。 こんなことが気になるのは他でもない。昨今は、幼少児をめぐる忌まわしい犯罪が横行し、その度に学校教育、家庭の躾、地域住民の無関心等が槍玉にあげられるのだが、一向に改善される形跡が見られないからである。為すべきは、安易に子供と妥協する物分かりの良さではなく、是々非々を弁えた大人社会からの一家言と愛のムチのはずである。 いささか力が入ってしまったが、もとより動物愛護の究極は人類愛にあり、実は「家族の一員」と称している犬のしつけについても同じことが言えるからである。日々、洪水のごとくに全国から寄せられる動物相談電話でも、しつけの失敗(不作為)による犬の問題行動や近隣からの苦情に悩む飼い主が引きも切らないのである。家族の一員であるならば、それは当然のごとく社会の一員であり、犬として人間社会に適応し理解されるような最低限度のしつけを学習させるのが飼い主の責務なのだ。そのためには、飼う(買う)前にそれ相当の犬に関する知識(習性・生理・生態)を習得して望むべきで、一時の感情で衝動的に飼い始め、甘やかすばかりでしつけを怠ることなどは論外なのである。 決して子供と犬を一緒にしているわけではないが、幼児期において『やりたくても、やってはいけないこと』と『やりたくなくても、しなければならないこと』をきっちりと判断し実行できるように学ばせることに相違はない。今ほど、大人(飼い主)たちの責任感が求められている時代はなかったと確信している。 財団法人日本動物愛護協会 理事・事務局長会田保彦 |
|