
ペットといっしょに考えよう
(財)日本動物愛護協会の会田保彦氏がつづるコラムです。今月は「動物を飼う」についてです
動物に関わる西洋の小咄がある。 「天国と地獄とはどこが違うのかね?」「そりゃ−決まっているさ。天国には犬がいるけれども、地獄には犬がいないのさ!」 いかにも“犬は人類最良の友だ”と主張する彼等のジョークとしてほほえましく、この話を聞いて諸手を上げ、溜飲を下げる愛犬家もさぞや多いことと思う。 しかし、チョット待って欲しい。確かに洋の東西を問わずに動物好きの種は尽きないが、問題は中身だ。長い歴史と風土に育まれた欧米人の動物好きは筋金入りなのだ。いわゆる「動物観」の違いなのだろうか、それは日常生活の中でもしばしば垣間見ることができるのだが、犬のしつけや猫の室内飼いの徹底が然りである。即ち、動物たちの習性・生理・生態を実に詳しく理解し実践しているのだ。 一方、我同胞といえば、動物好きは大いに結構なのだが、ペットブームとは裏腹に一部の飼い主のモラル欠如、マナーの悪さが常に社会問題として指弾を受けて久しい。昨今は動物を飼うことの背景として、ストレスの充満する世の中でせめて身近な動物たちとの交流により「癒し」を求める背景があるのだろう。確かに動物たちが寄せてくれる純粋な信頼関係は、かけがえのない支えであり、いつしかそれだけが生き甲斐とばかりに浸り切ることはわからないわけではない。ただし、動物を単に自分を慰めるツールとしてジコチュー(自己中心主義)の流れ、周囲と孤立して良好な人間関係をきずけない飼い主ならばいささか問題である。 本来、人と動物との共生とは、社会全体の中におけるコミュニティの一部だからである。ならば、当然のこととして大事な家族の一員を社会の一員として認知させるべく応分な自覚と責任を果たすべきなのである。犬のフンひとつ始末できずに放置することや不妊もせずに猫を外飼いすることは、明らかにモラル・マナーの欠如であり、結果として動物たちを冒涜することだ。 真の動物愛好家を心がけて欲しいものである。 |
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