ペットといっしょに考えよう
ペット人口増加の是非
いまだ山は眠り、頂きに白雪を残す3月と若葉が鮮やかに目に沁み、野面がリンゴの花に埋め尽くされた5月初旬です。中でも、「ふるさと」や「おぼろ月夜」等のなつかしい小学唱歌の舞台となった地方では、思い描いていた歌詞そのままの日本の原風景を見るおもむきでした。 ところが、仕事柄、人一倍注意しているのですが意外と犬・猫を見かけないのです。これは地域人口の絶対数の差かもしれませんが、アイツ(7歳・37Kg)との日課の中で出合う多くの犬・猫たちの数からすると、いささか物足りませんでした。 と言いますのは、今年のはじめに発表されたペットフード工業会の調査結果によりますと、2003年における国内の飼い犬と飼い猫は推計1922万頭で、一方、人間の15歳未満人口はおよそ1790万人(国内全人口の13%)の由。即ち、ペット数がこども人口を完全に上回っているとの情報に接し、日本中どこでも犬・猫だらけとの先入観があったからです。おそらく、小子化時代の反動として犬・猫を飼う夫婦やパートナーとして求める中年独身者が増え、また一部の分譲マンションが条件付きで飼育許可を認めて売上を伸ばす等の社会的な背景があったかとは思います。しかし、是非はともかくとして、人と動物に関わる世界に身をおく立場からは、何故かアンバランスを感じて一抹の不安を禁じえません。 寡聞にして先進諸外国における当該比較データーは不明ですが、ただしこれらの地では一過性のペットブームやブランド志向のブーム犬なる傾向は聞いたことはありませんでした。ところが、わが国では未だにブームに悪乗りした安易な考えが横行して動物を正しく理解しないまま、途中で飼育放棄を余儀なくされるケースが一向に減らないからです。本協会に譲渡(里親)を依頼してくる飼い主をみても、犬の例を上げれば、まず畜犬登録がされていない、不妊手術がされていない、狂犬病予防注射ほかのワクチネーションがされていない、しつけがされていない等のまさにナイナイづくしです。それでいて、行政に引き取られれば殺されてしまう、とのたまう(?)無責任さです。 爽やかな5月も月末ともなると、青葉は濃く滴り、真夏のような日照りです。早くもアイツはアゴを上げ、涼を求めてあえぎ始めました。暑さ対策とともに、フィラリアの予防薬、外部寄生虫等の健康管理にも気をつかう季節です。来週にはライオンのように伸びた純毛をバッサリと可愛くサマーカットしてもらう予定です。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
|