ペットといっしょに考えよう
オレ流の環境問題
しばし休息の後、やおら立ち上がると、そこには一人と一匹で優に100Kgを越えるデカイ尻と巨体の跡が、まるできれいに型を取ったかのように草が薙ぎ倒されていました。他愛ない散歩の一コマにすぎないのですが、いつも必ず何らかの新鮮な楽しみを見いだす掛け替えのない時間です。 本コーナーは、アイツとの交流について手を替え品を替えお伝えして3年を経過いたしました。知人の多くは、仕事がらとはいえ毎朝晩の世話は大変ですね、としきりに声を掛けてくれますが、当該原稿の締切(?)はともかくとして、得られる喜び以上に負担を感じたことは一度もありません。もとよりアイツを家族の一員として迎え入れた最大の理由は、一にかかって自然界からのメッセンジャーとみなし、動物たちやその棲息域である自然環境のことを肌で勉強したかったのです。即ち、動物との適正な触れ合いを通して、その背後に存在する多くの野生動物の生態(生き様)や花鳥風月にささやかな思い入れをすることが、あくまでもオレ流ですが広い意味での環境問題として捉えているからです。 東京は多摩川の河口からおよそ40Km余り上流の学園都市に住む女性からの相談電話です。純粋なビーグル犬の里親を捜して欲しい、併せてサワガニの生態観察を子供にさせたいので売っている店を紹介して欲しいとのこと。何と、手放す理由は既に子供の情操教育期間は終えたから、他方は近くの川原でもサワガニがとれることを伝えると、勉強が忙しくそんな暇はないと平然と言い放つ始末です。怒りを通り越し飽きれ果てました。ことほどさように、日頃は「動物愛護」や「自然保護」の重要性について、表面的には誰も反対しないし理解を装うのですが、イザとなると単なるお題目に終始して実践を果たさず、利己的で合理性のみが追求される現代社会の一面が透けて見えてきます。 動物と暮らすことはとても素敵なことです。同時に長年にわたり動物の世話をすることの大変さもよくわかってきます。そこには、根気と愛情、そして何より知識ではなく知恵が如何に大事かを身をもって体験することでしょう。だからこそ、環境問題を真剣に考え、実践することのむずかしさも実感できるのです。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
|