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生物の多様性
夏の盛り、小さな庭一面に雑草が生い茂り、休日を待ち兼ねて素手で駆除の戦いをいどむのが常となっています。強い陽射しの中、腰をかがめての作業は決して楽ではありませんが、指先に全神経を集中していると、いつしか一心不乱となり夢中で格闘しています。うまく根っこから引き抜けた時は満足感に酔い、途中でちぎれた時はすかさずスコップを使ってリベンジをしながら、やがてビニール袋一杯に収穫(?)を積めて終了します。

この間、リードを解き放たれたアイツ(7歳・37Kg)は、傍らにはべりながら「オヤジのやつ、何をそんなに向きになっているのだろうか」といった風情でしばらくはながめているのですが、やがて日陰を求めてノソノソと移動していきます。アイツなりに暑さに順応しているようですが、夏バテが進んだのか、さすがの食欲も若干は減り気味で散歩時間も短くなりました。それにしても、夏草の強さがしみじみと思い知らされます。演歌にも「花と咲くより踏まれて生きる、草の命がオレは好き」と歌われ、「草魂」をキャッチフレーズにしたプロ野球のエースもいましたが、まさに生命力とど根性の代名詞です。

生命力と言えば、かっては草木魚虫の世界(獣なども含め、広く動物や植物のことをさす)と称して生物の生態系が語られていましたが、今や「生物多様性」と呼び替えられてしばしばマスコミにも登場し、1993年には国際条約までもが発効されました。しかし、何となく言葉のイメージが堅苦しくて馴染まず、意味も理解しにくいのですが、要は、人間を含め動物や植物に代表される生命の世界は、それぞれが自然生態系という大きな輪を構成する一員として生きている。だからこそ、何らかの理由である種の動植物が絶滅してしまうと、それらは再生が不可能であって大きな輪のバランスが綻び始め、やがては人類さえも生存の基盤を失う事態になるので、多様な生物を保全(維持)することが極めて重要である、程度に理解しているところです。

もちろん、雑草を引き抜くことは絶滅を促進している訳ではなく、はびこり過ぎて他の植物とのバランスを崩してしまうので、保全のために間引きしているのです。雑多な植栽の庭に、ちょうど茗荷が数個ばかり土中から顔をのぞかせています。冷や奴へ香りを添えるみじん切りやテンプラが今から楽しみです。似たもの同志のはずですが、アイツと違いオヤジの食欲はすこぶる健在のようです。

財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦

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