ペットといっしょに考えよう
ターミナル
例によって、アイツ(7才・37Kg)と夜更けの散歩中のこと、仲秋の名月からは2日ほど経過し、やや輪郭がぼやけた感はありましたが、久しぶりに見事な満月をしみじみとながめました。 柄にもなく、いささかセンチな気分になったのは、このところ相次いで人生の「ターミナル」について考えさせられることがあったからです。一つはニキビ顔が華やかかりし頃だった45年前の仲間たちとの9年ぶりの同級会に出席し、お互いに“村の渡しの船頭さん”の年齢に達したナァと確認できたこと。二つは終末医療に関し、とても感動的な本に出合って人目をはばからず泣けたこと。三つ目は、知人がガンになり、可能性は五分五分と告白されたことです。これまでは健康に自信があるからとはいえ、頑固に規則正しい不節制(?)をしてきましたが、改めて、生者必滅は世の常、と実感した次第です。一方、敬老の日にはマスメディアがこぞって様々なデーターを流していました。特にうなずかされたのは、現在の日本の人口に占める65才以上の比率が19.5%に上昇したこと、同様に40才以上は人口のほぼ50%の由。高齢化と少子化を如実に物語っています。 そう言えば、いつまでも甘ったれのアイツだってもう7才。人間の年齢に換算すれば、45才位に相当します。最近はやや減少しましたが、本協会には時たまペットロスの相談が持ち込まれます。曰く、愛犬が私を置いてわずか12年(?)で逝ってしまった、との悲嘆にくれた内容です。しかし、お気持ちは分かりますが、それはあまりにも擬人化しすぎた飼い主本意の計算であり、本来の動物の寿命からするとほぼ天寿を全うして家族の一員としてすごしたことになるのです。動物たちは10才前後から猛烈なスピードで老化していきます。だからこそ、動物たちの視点にたって、今という時を大切に、ケアを怠らずに悔いの無いペットライフを過ごして欲しいのです。 いささか暗い話に終始してしまいましたが、どうせ避けて通れぬのならば、オドオドせずに少しでも前向きで納得できる自分とアイツのターミナルをデザインしてみたい、と願っています。拙宅の乱雑な書斎の一隅には、座右の銘であるサミエル・ウルマンの詩が置かれ、人生は溌剌とした精神と勇気があるかぎり青春である、と詠われています。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
|