ペットといっしょに考えよう
バロメーター
この、まるで劇場の分厚いデラックスシートのように整然と区画された農道と茶畑は、通勤の近道であり、また毎朝のアイツ(8才・37Kg)の散歩コースとしてもすっかりお世話になっています。ならば、そこは必然的にアイツの排便、排尿の場にもなることも多く、いくらキチンと後始末はするにしても、農家の方にはいささか気が引けているところです。それにしても、いつもながら何と山盛りで立派なコト。時には、愛用のポイ太くん(ウンチ処理袋)が一杯になるほど健康そのもので、快食・快便が自慢の似たもの親子(?)の面目躍如たるものがあります。しつこくて恐縮ですが、更に細かく観察をしますと、その場所は必ずしも一定ではなく、丁寧に一列づつ畑の畝間を嗅ぎながら、行きつ戻りつした末にようやく実行に至ります。アイツなりに何を根拠にその場を特定するのか興味は尽きないのですが、持って生まれた鋭敏な嗅覚は如何とも理解しがたく、アレコレ思い巡らすばかりです。 一方、夜更けの散歩コースと言えば、雑木林や公園が中心で、一日の締めくくりとして時間も朝より50%増しにしています。まずは、帰宅の足音を察知しての遠吠えによる挨拶に始まり、次いで太いシッポをゆらして散歩の催促となります。元気に歩き回るのですが、このところ気温の上昇につれ、さすがにロングコートが邪魔らしく、息遣いが激しくなってきました。圧巻は終わった後の水飲みです。ボウル一杯の新鮮な水にむさぼりつくことおよそ2分間に及び、ピチャ・ペチャ・クーと規則正しい3拍子で豪快に飲み続けるのです。目分量ですが、冬期では一度に200cc位、今ではゆうに300ccを超えていると思われます。 予防は治療に勝ると信じ、月に一度は定期的にホームドクターの健康診断をお願いしていますが、何よりも常日頃のチェックが欠かせません。そのバロメーターとなるのがアイツの場合は排便と摂水なのです。他にも目の輝き、毛の艶等のチェックポイントがありますが、犬のケアとしてはどれも極めて当り前のことです。しかし、残念ながらそれすらも面倒がって実行できない飼い主も少なくありません。所詮、そのような人は始めから飼う資格はないし、ロボットでも買って遊んでいればいいのです。 なぜならば、適正な飼養をしているか否かにより、飼い主自身もまた社会的な評価のバロメーターとして、その人柄と生命に対する責任感が問われているからなのです。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
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