ペットといっしょに考えよう
老犬との付き合い
こんな日々、アイツ(8才・37Kg)とのユッタリした散歩の楽しみは、季節の移ろいの中でささやかに耳目を肥やしてくれる自然とふれあうことです。今なら、静かな早朝に響きわたるカッコーの鳴き声を聞いたり、ユリノキ(モクレン科)の高い梢に無数の大きな花を見つけたり、どこからともなく漂い始めたシイやクリの花の刺激的な強い匂いを嗅いだ時がそうです。 毎回お馴染みのように、アイツを主体とした身近な雑感を取り上げていますが、実はアイツもすでに8才となりました。人間の年齢に換算すれば、50才位に相当いたします。それかあらぬか、確かにトシ相応に落ち着きはでてきましたが、同時に動きが若干スローテンポになり、顔にも白さが目立ってきたところです。あと3年もすれば、オヤジとほぼ同年齢に達することになり、俗に高齢犬の仲間入りをするわけですが、特に大型犬は急激に老化しがちです。それまでは何としても健康に留意し「無事是名犬」(?)を実証させたいと願っているところです。 それと言うのは、人間社会と同様に動物たちの高齢化も進み、家族の一員である老犬の介護問題がしきりと杞憂されているからです。確かに、アイツには一日でも生きながらえて大往生してくれることを望んでいるのですが、もしも寝たきりにでもなれば大変です。なにしろデカすぎて家人一人の時などはとうてい看護の対応ができそうにありません。その時は、何とか工夫を凝らしながら飼い主として終生飼養の義務を果たすことになりますが、いずれは到来するかもしれない悩ましい問題です。これは、昨今しきりに健康維持の一環として奨励されています独居高齢者に対する動物飼育の効能についても然りです。例え、医学的などんなメリットが証明されたとしても、動物たちは決してツール(健康器具)ではありません。さらに、どちらが先に逝くにしろ予めフォロー体制をきちんと考えてから飼育すべきなのです。その点では、現代の飼犬事情が小型化・純血化・室内飼育化になりつつあることは理にかなっているかもしれませんが、最後は犬の大きさの問題ではなく、飼い主自身の良心に従い、責任を全うすることと認識しています。 それにしても、大型犬との付き合いは本当に楽しい。座れば同じ目線の高さでアイコンタクトができ、つい擬人化して相棒扱いをしてしまいます。何よりもドッシリしたボリュームあふれる存在感がたまりません。いつまでも元気でいてくれるよう祈っています。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
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