ペットといっしょに考えよう
動物に起因する感染症
ご存じのように、当該地は農業、漁業がともに盛んで全国有数の食料自給自足県として名高く、併せて東京の巨大市場を賄う台所(?)の役も担っている豊かな土地柄です。 しかし、一昨年は「鯉ヘルペス」により養鯉業者が壊滅的な打撃を被ったほか、本年はまた、採卵鶏の数では日本一を誇りながらも「高病原性鳥インフルエンザ」の県内発生が相次ぎ、飼養農場関係者を震え上がらせています。この間、政府は国内防疫の強化、全国一斉サーベランス(科学的な分析調査)の実施等の事務連絡を繰り返していますが、いずれも対処療法の域を免れずに正確な原因の究明すら不明なことが悩ましい問題です。それにしましても近年は、世界各地においてサーズ、鳥インフルエンザ、ウエストナイル熱等の感染症やBSE(狂牛病)のような新たな病気の発生により、国際的にも社会不安が一段と増幅されてきた感があります。 かって、人類が遭遇したこともなかったような人と動物の共通感染症が何故これほどに拡大して発生するのでしょうか。スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げ成功及び宇宙ステーションとのドッキングに湧きかえるこの時代に、いささか後戻りをするかのような非科学的な感慨で恐縮ですが、まずマクロでは急激な人口増加、環境破壊、物質文明の発展等により徹底的に地球の生態系を狂わせたことであり、次にミクロでは身近な生活周辺における「もったいない」精神の欠如があげられると考えています。即ち、大量消費や経済効率のみが重視される価値観が横行してモノを粗末に扱いすぎることです。モノを大切にする気持ちは自ずと動物を慈しむ精神につながり、それはとりも直さず自然環境の保全や人間の生命尊重にも大いに理解を深めるものと信じるからです。 ところで、アイツ(8才・38Kg)の近況ですが、何気なく遊ぶうちに右わき腹にピンポン玉大の脂肪腫を見つけ、月例検診の折りにホームドクターに摘出のオペをお願いしました。幸い術後は順調でことなきを得ましたが、無残にも自慢の金髪を30cm四方ばかり刈り取られ、見事な(?)サマーカットに変身したところです。それでも、感染予防の一環として多量に処分を余儀なくされるファームアニマルに比べたら幸せなものです。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦 |
|