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ペットといっしょに考えよう

ペット市場の表裏
いつしか日没時間も早まり、もの静かな晩夏の気配が漂いはじめたころ、俄かに日本列島の各地が拡声器の大声であふれ始めました。その20日ほど前のことですが、炎暑の盛りに万博で賑わう観光客をしり目に愛知県の三河地方に出向きました。

目的は、ペットのオークションとしては、その質・量が名実ともに日本一と称されている「三河ペット市場」を訪ね、実態の一部に触れさせていただくことでした。もとより、売買当事者以外の立ち会いには厳重な規制のある中、関係者の特段の配慮をいただき実現したことなのですが、まさに「百聞は一見に如かず」で日頃の動物愛護普及活動とは異なる新鮮な驚きの連続でした。特に、生体の価格決定要因、流通機構、そして何よりも「動物愛護管理法」との接点について大いに勉強をさせられたところです。

紙面の限りもあり、詳細の報告は別の機会に譲らざるを得ないのですが、一部をご紹介いたします。まずは、首都圏や阪神から参加する一流ペットショップのベテラン経営者の眼力(目利き)の凄さには舌を巻きました。次から次へと競りにかけられる生後50〜60日のパピーについて一瞬にしてスタンダードとの違いや先天的な疾患等を見抜いていきます。それは、あたかも家畜商法(昭和24年制定)で指定登録を受けた馬喰のごとき経験に裏付けられたプロの技で、素人ならば目前の可愛い塊に心を奪われて、とても良否など判別できない段階での即決なのです。次は、ブーム犬の哀れな末路です。当日に供給された犬種は、予想通りM・ダックスフンド、チワワ、プードルの3種が多数を占めていましたが、なりゆきによる粗製濫造(?)のためか一時に較べて価格が相当に下落し、欠陥も目について取引は低調に推移していました。それかあらぬか、当該種ブリーダーの中には倒産の憂き目に遭遇する人も少なくない由。何よりも杞憂するのは、理由があって売れ残ったパピーたちは、その後インターネット販売や二流・三流のペットショップに流れ、安値で消費されていく現実です。そもそも、生体を買うのに実物を見ずして画像で選んだり、同犬種なら単に低価格の方を求めるような愚は避けてほしいものです。トラブルで泣くのは消費者であり、犠牲になるのは動物たちだからです。その点では、改めて両親から優勢遺伝を引き継ぐ雑種の丈夫さに思いを致しました。

雑種と言えば、ライオンとのMix(?)かのような風情のアイツ(8才・38Kg)ですが、暑さも峠を越したせいか元気を取り戻し、術後の下毛も生え揃って変形サマーカットも大分目立たなくなりました。実は、元気回復の秘訣はミニトマトにあるのかもしれません。最近になり試みに食べさせたところ、リコピン効果でしょうか、すっかり大好物になりました。犬の生理学的に賛否はともかく、無責任な動物実験をしている最中です。

財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦

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