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ペットといっしょに考えよう

「ペットのネット販売」
小寒い風に吹かれて、薄紫・黄色・白など色とりどりの野菊がやさしく揺れています。茶畑はタップリと夜露にまみれ濡れそぼっています。すっかり秋が深まりました。

その後のアイツ(8才・37.5Kg)は、と言えばお陰様で元気一杯なのですが、たまさか前月の本稿で老化の進行によるハンディキャップ(視力の減退)にふれたところ、早速にアイツ宛にお見舞いの品が送り届けられビックリです。御裾分け(?)をおいしく味わいながらも恐縮いたしました。日常の何ら変哲もない自然の移ろいや人の出会いにすぎないかもしれませんが、物心がついて以来の半世紀は、全てこれらをよりどころとして支えられながら生きてきたような気がします。

それだけに、現代社会がすさまじいスピードで変遷する様、別てもコンピューターの世界はハード、ソフトいずれもがとうてい理解に及ばず困惑しています。そんな矢先、ネットオークションとショッピングでは国内最大級(会員・360万人、出品数・185万品)のマーケットを展開中の若き女性経営者とお会いしてペットの生体販売に関する情報交換をいたしました。「是非」はともかくとして、今や肉や野菜の生鮮食品までもがネットオークションで購入する時代であり、売り手と買い手は共に満足している由。その延長上にペットの生体販売がある訳です。これまで動物愛護の観点からは、買い手の動物観レベルを杞憂して一方的に「非」と声を大にしてきました。ただし、正直に言えば、個々の価値観が複雑に多様化する中で、古い人間が先入観のみで一括りに新販売体制を否定することには若干のためらいが生じつつあることも事実でした。

しかし、本年6月における「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正に伴って主務官庁の環境省は、来年6月の施行に向けて政令、省令等の整備作業中であり、当然のように当該の生体販売も対象となって議論されています。確かにその弊害事例も多く指摘されていますが、むしろ巨大なインターネット市場そのものの実態をどの程度まで把握されているかが大いに疑問です。願わくば、利便性のみ優先する短絡的なインターネット売買ではなく、動物の健康と安全を確保した上で、更に買い手への動物愛護の普及啓発を十分に担保した市場での販売であって欲しいと切望する次第です。何故ならば、法律の基本原則には動物は命あるものであり、共生に配慮すべきことを高らかに掲げられているからです。

アイツとの共生も然りです。このところ毎朝晩の運動は、少しでも視力の不安を解消させるために、絶えず話しかけながらユッタリと歩いています。目の不自由な方のために盲導犬がいるのなら、不自由な犬のために補助する人間がいても不思議ではないでしょう。

財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦

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