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ペットといっしょに考えよう

換毛期
ペットといっしょに考えよう【】写真
雌雄は定かではありませんが、2羽のセグロセキレイがしきりと飛来してきます。
隣りの茶畑から庭の梅の木へ飛び移り、あたりの様子をうかがってから、やおらアイツ
(9才・37Kg)の小屋の周りに降り立ちます。
しばらく観察していると、何と彼等の目的はアイツの抜け毛を収集していることが判明いたしました。多分、営巣の素材として暖かい純毛を利用しているのでしょう。グッドアイディアに感心いたしました。


毎年のことですが、この時期のアイツは、換毛期で抜け毛の量は半端ではありません。
デカイ図体で長毛種でしかも下毛がビッチリ密集したダブルコートだからです。
毎朝の手入れは欠かせませんし、たまの休日には大型の粗いブラシで30分以上の時間を費やし、手のひら大の固まりを数個は採集しています。
一般的に、この換毛期は温帯以北が原産の犬たちに多くみられ、気温が上がり日照時間が長くなると新しい毛が成長し始め、古い毛を押し出してどんどん脱毛させていくものなのです。
まるで、息子に語りかけるように、人生訓(?)等を話しながらブラッシングしているとアイツもユッタリした快感にウットリしています。そういえば、異種生物間の典型的な共棲事例としてアフリカ水牛の背中でその外部寄生虫をついばむサギの話が有名ですが、ならば同様にスズメもシジュウカラもヤマバトもウェルカムです。どうぞ、アイツの背中で抜け毛をついばんでやって欲しいものです。小鳥の巣ぐらいならいくらでもできます。

一方、つい最近のことですが、情けない相談電話が飛び込んできました。広い居間に大型犬のたたずむ光景に憧れ、昨夏には念願が叶ってペット飼育可の分譲マンションを購入し、G・レトリバーを飼い始めた由。
幼犬期のイタズラは我慢できたが、今時の抜け毛はとうてい耐えられないのでどなたか里親を紹介して欲しい、との話に開いた口が塞がりませんでした。
犬の生理として換毛は正常なことであり、健康を維持するために当然な飼い主のケア努力を怠り、1年足らずで短絡的に自らの所有権まで放棄してしまう。命を預かる責任が皆無のこんな飼い主が引きも切れない現実は悲しくなります。案の定、畜犬登録はおろかワクチンもしつけも成されていませんでした。

抜け毛とは関係ありませんが、去る6月20日の早朝散歩で、やはりこの時期の風物詩である爽やかなカッコウの初音を聞きました。平年よりおよそ1ケ月も遅いため、渡りから一気に山奥に向かい、いつも託卵する里には立ち寄らないのではと、やきもきしていましたがホッとしました。同様に、不順な天候のせいか、夏野菜の成育も大分遅れているようで、近在の菜園家の皆さんが心配しています。動物界も自然界も、そして何よりも人間社会も、きちんと当り前が当り前としてまかり通る世の中であって欲しいとゴマメが歯ぎしりをしています。



財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長会田保彦

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