ペットといっしょに考えよう
ペットビジネス
一方、絶えず変遷を余儀なくされているのが、その時々の利害に左右される人間社会です。いささか手垢にまみれてきたペットブームではありますが、それを担ってきたビジネス界も然りです。目下は、約一兆円市場ともてはやされ、フード・用品・獣医業でおよそ75%を占めていますが、今後はパイの拡大とともにその余禄については大きな変化が予測されています。即ち、ペットのケアを主体とするソフト関連業者の進出です。時あたかも動物愛護週間行事の最中でもあり、はからずも斯界における多くの情報に接してきましたが、確かに有望市場であることを実感いたしました。一例が、ペットの共生仕様住宅、ネット通販、シッター、セルフシャンプー、送迎つき保育園等あまたで枚挙にいとまがありません。 この春、筆者の若い友人もまた当該業界に参入した一人で、東京の郊外に「ドッグステーション」なる生体販売を扱わないソフトをメインにした店をオープンしました。彼は、3年前からじっくりと構想をあたため、経営はもとより動物の科学(習性・生理・生態)や関連法規について徹底的な理論武装の末に決断したのです。とかく理論と実践が相反するのは世の常であり、資金的にも決して潤沢ではないのですが、持ち前の明るさとバイタリティで懸命に頑張っているところです。楽観は許しませんが、たまに垣間見る来店客との応接は、いつもペットの目線から的確なアドバイスを提供し、動物取扱業者としては極めて心地好いものでした。俗に、商いは飽きない、とも言われます。今はとにかく、サポーターづくりに励んで欲しいものと、陰ながら期待しています。 門外漢が能書きを並べて恐縮ですが、実は、こと動物のソフト(係わり方)に関して、本協会は長年に渡り蓄積されてきた豊富なノウハウや資料を有し、情報の宝庫なのです。これらを活かさない手はありません。これまでは、公益を増進する立場から、どちらかと言えば民業と一線を画してきましたが、動物愛護管理法の背景もあり、今後はより積極的にペットビジネス界の皆様との関係強化を考えています。我田引水を承知で言えば、動物愛護の推進なくして業界の発展は望めません。ともに手を携えていきたいものです。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦 |
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