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ペットといっしょに考えよう

黄秋
ペットといっしょに考えよう【】写真
庭の柿の木は、まるで日めくりのカレンダ−を剥がしているかのように、日毎に葉を落とし続けて残りもあとわずか、冬間近の風情をかもしています。

そこは、夏には格好の緑陰をもたらし、アイツ(10才・36Kg)の昼寝場所でした。それにしても、自然のマジックにはいつも感心させられます。手の平大の柿の葉脈は、本当に美しい色彩で掃いてゴミ袋に入れるのがためらわれます。

アイツと言えば、寄る年並みには逆らえず、ボディの各パートで劣化現象がおきているようで、持病の外耳炎を悪化させてしまいました。日頃は、タレ耳の手入れを怠らずに高温多湿の時期も無事に乗り越えたのですが、何故か寒さを迎えてからの再発でした。一時は、太い首に自損防止用のエリザベスカラーを着用し、愛嬌タップリに庭をうろついていたのですが快方に至らず、目下はホームドクターのお世話になって入院中です。それ以降の毎朝というもの、雨戸を開けてもそこにいるはずの姿がなく、今頃は何をしているのやら、と寂しいかぎりです。案外、当のアイツは若いお姉さんにやさしく保定され、鼻の下を伸ばしてやに下がっている(?)のかもしれませんが・・・。

他方、実は主(アルジ)の方もアイツ同様で、自他ともに頑健を誇った身体にいささか金属疲労の陰りが見え始めました。いずれ、長年の「規則正しい不節制」のつけが回って来ることは覚悟していたのですが、今後もこれまで通りにマイペースを踏襲していくか、それともストイックな「節制」にチャレンジするのか、正直に言って迷っているところです。歳だけ重ねても、青臭い選択肢しか思い浮かばず不明を恥じていますが、一度ユックリと人生の棚卸をしてみる積もりです。同時に、現代社会のキィーワードである少子・高齢化現象が、単なる話の接穂ではなく、実感として湧いてきました。何しろ、今の日本では、10才以下の子供の人口よりも、65才以上の高齢者や犬の数の方がはるかに多い時代に突入しているのですから、無理もありません。

俗に、人生を例えれば、青春・朱夏・黄秋・白冬のシーズンに区分けされていますが、考えてみればアイツ共々に既に第3コーナーに達している訳です。決して楽観は許されませんが、サミエル・ウルマンの詩(青春とは)のように、まだまだ実現したい夢のあるかぎりはただ老いに任せるのではなく、いささか世のため動物のために微力を尽くしていければと考えています。そして、柿の落ち葉のように見事に熟しながらゴールインしたい、と念じています。



財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦

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