ペットといっしょに考えよう
野生動物の明日
旧年の末には、イヌ年の掉尾を飾るべく、アイツ(10才・36Kg)に敬意を表してトリミングに出掛け、首輪も6年ぶりに真っ赤な新品に付け替えました。まさに「馬子にも衣装」で、見違えるほど可愛く(?)なり、無事に十二支アンカーのイノシシにバトンタッチしたところです。 イノシシと言えば、このところ各地で農業被害大発生の猛威を奮い、生産農家の頭痛の種になっています。本来、雪深い東北・北海道を除いて全国どこにでもいるのですが、原因の一つは温暖化の影響で生息域が北上し、被害地域を拡大させたこと、二つには狩猟圧が減ったことにより、もとよりの多産系が活発に繁殖して数を増やしていること、が上げられています。 例えば、東京と山梨県を結ぶ中央線では、この夏以来すでに7件ものイノシシと列車の衝突事故が発生し、同じくお隣の千葉県では年間で1億2千万円もの農作物被害を受けたとの事。確か十数年前までは房総半島にイノシシは皆無との話だったはずですが、信じがたい進出ぶりです。一説には、他県で捕獲したウリ坊(生後3ケ月までの子供イノシシ)数匹を連れ帰ったハンターが、成獣になった後に飼いきれなくなり放獣したのでは、との噂までありますが、こうなると人の生命・身体・財産に害を与えるおそれのある特定動物(危険な動物)へ指定をしてその飼養を許可規制とし、マイクロチップの埋め込みを義務づける必要があるかもしれません。 イノシシ同様に、日本3大狩猟獣であるクマ・シカにおける人との係わりも深刻です。特に、本州に生息するツキノワグマにいたっては、各所に出没しては捕獲され、子グマを含むおよそ9割が射殺されており、その数は昨年度4,700頭にも達して国内推定生息数のおよそ40%にまで及んでいるそうです。ニュースに接するたびに、無力感と空しさに襲われますが、いずれにしろ貴重な希少動物をこのまま絶滅に追いやるわけにはいきません。またまた噂話ですが、これほど短絡的に捕殺がまかり通る背景には、隠れたブームとしてのいわゆる漢方薬「熊の胆」の存在があり、昔と同様に金一匁と等価交換される流通市場や消費の実態が疑問視されているところです。 野生動物たちとの共存バランスに欠けるこのような人間中心主義が、政治・経済・教育等の日常現場にはびこって、目先の「私の利益」しか念頭にない矮小な自己中心主義者を生み出すことが、結果として社会を荒廃させるのではないでしょうか。正月早々に、縁起でもなく根拠希薄な噂話を重ねましたが、単なるガセネタで終わって欲しいものです。亥年の歴史をひもとくと、突発的な出来事が多々起きています。ならば、想定外でも結構だから、2007年(平成19年)が人と動物たち(家庭動物・野生動物を含め)の明るく楽しい話題で賑わうことを期待したいものです。 |
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