ペットといっしょに考えよう
大型犬との暮らし
この時期、アイツ(10才・36Kg)と過ごす楽しみの一つに、その窪地に分厚く降り積もった落ち葉の中で特有の匂いにまみれながら戯れること、があります。 両脚を中程まで埋めながら鼻先を潜らせて動き回る様子は、まるで落ち葉のプールを得意の犬カキ(?)で泳いでいるかのようです。某日も、人の気配のないことを確認の上、遊ばせていたところ、イキナリ林の入口の方から年配女性の声で「ビックリした。イノシシかと思った」との声が届いてきました。近郊の住宅地にさえイノシシが出没する時代ですから、さもありなんと思われます。まさか、M・ダックスフンドとウリ坊(3ケ月未満のこどもイノシシ)を間違える人はいないでしょうが、大きさだけならその成獣とくらべてもさほど遜色のないアイツなら誤解されるのも無理はない、と微笑ましく合点した次第です。 一方、オヤジの方は正月早々からサルが木から落ちたような大失敗をしでかしました。 実は、旧年末にアイツの使い古したハーフチョークの首輪と太いリードを、普通の首輪と軽くて薄いリードに交換したところ、長年にわたりお互いに身体で覚えて馴染みきっていたハンドリング感覚が狂ってしまいました。 無意識に歩きながらも、時に石臼を引きづっているかのような違和感を覚えていたのですが横着して打ち過ぎ、結果として手首の腱しょう炎になってしまったのです。多分、アイツもとまどっていたのだと思いますが、不覚でした。当然、器具は元に戻しましたが、それにしてもたかが犬の首輪されど首輪と反省するとともに、今更ファッションでもあるまいし、習い性になっている使い勝手のよいツールを軽々に取り替えることの無意味さを実感した次第です。同時に、大型犬ならではの適正な管理の難しさを再確認いたしました。特に、この先ではアイツの介護が必要になる事態も考えられ、あの重さにどのように対処するか、思案のしどころです。 もとより、敢えて熱望して実現した大型犬の飼育です。この間におけるアイツとの触れ合いは、多少の問題もありましたが、それらを補って余りあるほど予想をはるかに越えて楽しいものです。そして、相変わらずの親バカですが、何よりも圧倒的な存在感がもたらすパフォーマンスが可愛くて仕方ありません。唯一の難点(?)と言えば、一瞬の接触にもかかわらず高さが一致するせいか、いつもオヤジの散歩上着の裾のあたりがアイツのヨダレで白く汚されることです。 まったく、油断もスキもありません。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦 |
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