ペットといっしょに考えよう
連載70回
しばし顔をつき合わせ、肉球をもんだり、喉の下をさすったりしながら話しかけます。しみじみながめると、アイツの顔もだいぶ白くなりました。まるで「生者必滅」と、この世の無常を悟った(?)かのような顔付きをしています。そして、親父の方と言えばこのところ何気無く、「And now the end is near And so I face that final curtain」、と口ずさむことが増えました。ご存じ「マイウエイ」の一節です。30年前はそのメロディが好きだったのですが、今はその歌詞(翻訳も素敵です。)に心ひかれています。アイツ共々にまだまだ元気なのですが、確実に年は取ってきました。 かつて、そろそろ人生の棚卸をしなければ、と記したことがありましたが、そんな時期にさしかかってきたのでしょう。折から、本稿が今号でちょうど70回目を迎えたことも若干センチになった原因かもしれません。6年前には、これほどの長期連載になるとは全く予想もせずにスタートしたのですが、アッと言う間の歳月でした。手前味噌ですが、これは一にかかってアイツの存在なくしては有り得ないことで、まさにアイツとたどった四季の記録そのものであります。 これまでも広報誌等に動物愛護普及啓発の一端として、「主張」、「一言」なる執筆を連載していましたが、いつしか新聞の社説気取りのおこがましさに、我ながら辟易していた際にコラムの依頼がありました。アイツとの日常のふれあいを通して、ペットライフの楽しさ、動物愛護の趣旨、犬の習性・生理・生態、そして時には野生動物に関すること等をできるだけ動物の目線で具体的に分かり易く伝えることができれば、と引き受けたのです。振り返れば、紺屋の白袴も多々ありましたが、お陰様で今日に至ったところです。 この間、「動物の愛護及び管理に関する法律」も改正・施行され、飼い主責任がますます強化されてきました。その背景には、一握りの無責任な飼い主による人と動物の共生を阻害する様々なトラブルが増えてきたからです。これらの多くは、命あるものである動物に対して無知もしくは健全な社会常識の欠如した飼い主に起因しているのです。しかし、公権力による規制もさることながら、今後とも動物の健康と安全に関する一般飼い主への適正な飼養の啓発は欠かすことができません。 エンディングは定かではありませんが、当該コラムがいささかでもお役に立つことができれれば望外の喜びです。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦 |
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