
ペットといっしょに考えよう
白馬の王子
今年も、はや「麦秋」の頃となり、折り返し点にさしかかりつつあります。 わずか3ケ月前におけるアイツ(10才・35Kg)との散歩は、ジャンパーを羽織りながら日当りを求めて歩いていたのですが、今はポロシャツ姿で強い陽射しを避け緑陰をたどっています。松尾芭蕉ではありませんが、「月日は百代の過客」と肌で感じます。 確かに、月日は永遠に続く旅人のようにきちんと繰り返し巡ってくるのですが、一方、人の世の中はと言えば、変遷が激しすぎます。特に近頃では、本来の日常的な常識から大きく逸脱した猟奇的な非行が多発しています。現代社会における豊かな物質文明を、夢ですら予想もできなかった半世紀以上も前のことですが、書道の時間に「美しい国日本」と認めたことがありました。多分、そんな時代をご存じない今の若い総理大臣が、盛んに「美しい日本」と主張されるのは、周囲から聞かされてきたこの国の豊かな精神文化の復活を期待してのことと思いますが、現実には皮肉な結果ばかりが続いているようです。 明るい話題に転じましょう。こんな時こそ、世間は一服の清涼剤を待ち焦がれるものですが、そんな期待を担ってさっそうと登場してきたのは、「ハンカチ王子」と「ハニカミ王子」と称される、斎藤クンと石川クンの両人です。もとより、野球界とゴルフ界は二人の話題で持ちきりとなり、マスメディアにいたっては某テレビ局のベテラン美人キャスターまでが、二人の話題になると胸がドキドキしてしまう、と顔を赤らめて告白する始末です。底知れぬ若さは魅力一杯だし、かつ文武両道で人柄と実力が折り紙つきなのですから合点です。かっての野球小僧は、なつかしい昔を偲ぶよすがとしていますが、内心では羨ましい限りです。まさに「白馬の王子」そのものなのでしょう。ペットブームの陰では、時にえせ動物愛護団体までが出没する動物の世界にも、このようなヒーローが出現し、人と動物が共に上手に暮らせる社会の実現に力を発揮してくれたら、と願っています。 毎年のことですが、暑さとともにアイツの動きが鈍くなり、散歩時間も若干は短めになってきました。目下は、食欲、毛艶、排便のいずれをとっても問題はなく、この夏もきっと元気にクリアーできると信じていますが、今更ながら急に思いついたことがあります。実は、前述の散歩コースでも緑陰を選んで歩くのは、主にアイツの意志(?)によるのですが、いささか視力の退化が目立ち、はたして光の陰陽が判断できるのか否かの疑問が生じたのです。ならば、なぜアイツがスタスタと涼しい日陰の場所に向かうことができるのでしょう。それは、体温調整機能を持つ足の裏(肉球)が地表面の温度の違いを察知しているから、と考えていますが如何なものでしょうか。 この先、ますます暑くなり路上の輻射熱が激しくなります。日中における愛犬の散歩にはくれぐれも ご留意下さい。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦 |
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