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加齢
ペットといっしょに考えよう【】写真
前線の停滞により、さしもの灼熱地獄もようやく和らぎましたが、それにしてもこの夏はすさまじい暑さでした。

 まるで、宇宙船地球号のエンジンルームがオーバーヒートしてぶっ壊れたのでは、と心配していました。この間、分厚い毛皮のコートをまとうアイツ(10才・34Kg)はと言えば、リードを放たれたまま庭の木陰に穴を堀り、身体をうずめて仮死状態(?)のあり様でした。それでも、幸いなことに食欲は一向に衰えをみせず、夜更けの散歩も元気一杯です。但し、さすがにここにきて「加齢」の影響は隠しきれなくなりました。


 すでにお気付きの読者の方もおいでかと思いますが、まもなく11才を迎えるアイツの体重は往時に比べて4Kg以上もやせてきました。やせることの功罪として、毎月の定期検診をお世話になるホームドクターは、心臓への負担が軽くなり結構なことと宣いますが、一方では持って生まれた体型により当然あるべきところの肉付きが小さくなることが気掛かりです。見かけはともかく、Lサイズ用エリザベスカラーのボタンの止め位置は確実に二つほどずれて首が細くなり、何よりも毎朝のブラッシングでもやたらと背骨(胸椎、腰椎)にゴツゴツ触れるようになりました。同時に、「加齢」による影響はオヤジの方も同様で、体重こそ減りませんがアチコチにガタがきてイエローカードの到来を実感しているところです。

 俗に、「生者必滅、会者定離」は世の常であると予測してはいるのですが、イザ現実に自覚を余儀なくされるのはいささか寂しいものです。柄にもなくセンチになりましたが、実は、物心がついて以来、この時期になると決まって繰り返す恒例の個人的な感傷なのです。原因は、甲子園の全国高等学校野球選手権大会にあります。あれほどの熱闘に全国中が盛り上がりを示したにもかかわらず、決勝戦後の閉会式が始まると、いつものことですが心と体の中に一挙に秋風が忍び込み、やがてはあたかも潮が引くように人々の話題からも消えていく様に、夏を惜しむ気持ちが募ってセンチになるのです。日頃は、極楽トンボを自認しているはずなのに、たまさかの出来心なのでしょう。

 「加齢」はともかく、いい歳をして青臭い恥をさらしますが、目下、これからも夢を追い続けるべきか、それともペースダウンして自分を労るべきか自らの存在理由を確認しながら思案中なのです。所詮はゴマメの歯ぎしりなのですが、「手に取るな、やはり野に置けれんげ草」とつぶやいています。
 猛暑だったゆえに、束の間の涼しさが一段と心地好く感じられますが、油断すると夏の疲れがドッと出てきます。適度な緊張感を持続して秋を迎えるように、アイツにもよ−く言い聞かせているところです。


財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦

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