ペットといっしょに考えよう
アンバランス
アイツ(まもなく11才・34Kg)も、夏を乗りきって心なしか散歩の足取りが軽やかになり、ホッと安堵しています。 しかし、このしのぎ易さに至るまでのプロセスは普通ではありませんでした。わずか、一週間前のお彼岸に開催された恒例の動物愛護週間に於ける動物ふれあいフェスティバル時も然りでした。例年であれば、屋外イベントの雨天対策が悩みの種で、事前の長期天気予報に一喜一憂するのが常でしたが、今年に限ってはその心配はなかったものの、裏腹に猛烈な暑さに見舞われました。ノドの渇きに耐えかねて、絶えず水分を補給しながら取り組んでいたのですが、びろうな話、気が付けば行事の最中を通して全く尿意が催してこなかったのです。度の過ぎる暑さにより、水分が発汗作用に取って代わってしまった生理現象のせいなのでしょう。 一方では、今の若い人々の間では無責任に義務を放棄する言動を、「アベする」と揶揄することが流行っているそうです。ご推察の通り、その激務に同情の余地はありますが、総理大臣が突然に前代未聞の辞意表明に至った顛末を称しているそうです。これも、人の器として過ぎたる職責だったのでしょうか。他人事ながら、併せていささかでも我が身に置き換え、人の出処進退の難しさを感じた次第です。俗に、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言いますが、季の移ろいだけでなく人(時代)の変遷を含め、何事も過ぎる傾向は問題を生じがちで、適度な案配が大事なのでしょう。中でも、猶予なく深刻なのは自然界における異常気象によるバランスの崩壊です。急激な温暖化の影響で地球が悲鳴をあげ始め、日本の風土を培ってきた四季折々のメリハリもなくなりつつあり、いまに三季(?)に減少するのではないかと、人の生活ばかりでなく動植物の生態系も心配です。日本列島の類まれな特性である春夏秋冬が、次世代以降にもきちんと保全されることを願うばかりです。 バランスと言えば、人と動物の係わり方に関する個々の見解も同様です。相も変わらずに、唯我独尊の偏向的な動物マニアが横行して一般市民と対立したり、飼い主の足元を見透かすかのような有料の老犬ホームや長期預かりビジネスが台頭してきました。多種多彩な活動を必ずしも否定するわけではありませんが、あまりに奇をてらい、度の過ぎるスタンドプレーに走るのは如何なものでしょうか。すべからく、動物に関する事案は動物の目線によって、明るく穏やかに展開していって欲しいものです。そのためには、国民の大きな合意形成に基づく社会規範の浸透が必要となるでしょう。 財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦 |
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