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ペットといっしょに考えよう

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ペットといっしょに考えよう【】写真
小春日和のやわらかい陽射しを浴びて、雑木林の紅葉が美しく輝いています。

 木々はスクラムを組むかのように、茶色やうす黄色の葉を樹上にビッシリと盛り上がらせて連なり、一陣の木枯らしが到来すればひとたまりもなく裸木になりそうなほどで、毎年のことながら、アイツ(11才・34Kg)との散歩で出合う束の間の楽しみです。

 そのさなか、「もみじばふう」の手のひらサイズの葉を拾い、一際鮮やかな深紅に目を奪われながらも、何気無く太陽にかざして見ますと、まるで張り巡らしたクモの巣のように無数の白い葉脈が透けて浮かび上がってきました。これまでは、アメリカの東部を原産とするこの高木楓の太い幹や大きな葉ばかりを目にとめていましたが、実は「葉を截ちて根を枯らす」の例えのように、この葉脈こそは炭酸同化作用の命綱とも言うべき存在であり、しばし自然界が創造した仕組みと季節をたがえぬ正直な営みに目を見張らせながら、「星の王子さま」の一節ではありませんが、本当に大事なことは目には容易に見えにくいし目立たないものと実感した次第です。

 一方、今の世の中に横溢するモラル・ハザードのていたらくには目を覆うばかりです。それは、建築業界、食品業界の「偽装」に始まり留まるところを知らずに枚挙に暇なく、その結果、ニュースと言えば長机の前に直立不動で居並ぶ2〜3人の紳士が深々と謝罪する場面ばかりが続いています。中でも、顧客を欺き誠意を忘れて功利的にのみ突っ走った老舗の罪はあまりにも代償が大きすぎるし、失った信用は取り返しがつかないでしょう。百歩譲れば、目下のところ事故や中毒は聞こえてこないのが幸いですが、偽りはまぎれもない事実であり、もしかしたら氷山の一角にすぎないのかもしれないと考えれば、今後も偽装のオンパレードが予想され疑心暗鬼に拍車がかかりかねません。そして、もっとも辛いことは、次代を担うべき児童たちが教室で大人社会を揶揄した謝罪ゴッコをして遊んでいる由。ゴマメが歯ぎしりをしすぎて(?)、だんだんと歯がすり減ってきました。

 その点では、せめて動物たちとのふれあいによって心が救われることが多々あります。ときには犬も猫もドジを踏み、照れ隠しの転位行動をいたしますが、決してウソや見栄で接することはありません。無償の信頼関係だからこそ心地好いのでしょう。イヤ−待てよ、そう言えば近頃のアイツときたらウソはつきませんが、時に聞こえないフリをすることがあります。早朝散歩でグッスリ寝ているのを起こす時など鼻だけ反応しているのですが、明らかにタヌキ寝入りをしているのです。罪もないし、年の功によるベテランのテクニックのつもりなのでしょう。人間社会に比べれば可愛いものです。


財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦

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