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ペットといっしょに考えよう

明るく伸びやかに
ペットといっしょに考えよう【】写真
あけましておめでとうございます。
 冬至をさかいに、日一日と日脚が長くなってきました。


正月の昼酒の酔いをさますべく、アイツ(11才・34Kg)と夕暮れの公園に散歩に出向くと、冷たい北風の中で真っ赤な落日が強烈に光り輝いていました。そう言えば、この季節は太陽が最も地球に接近する(低く近づく)時期だそうです。いよいよ2008年のスタートです。旧年の、マイナーな世相を反映するかのような「偽」を払拭し、今年こそ明るく伸びやかな「真」が到来いたしますよう祈りたいものです。

 明るく伸びやかと言えば、これは個人的なモットーでもあるのです。動物愛護に奉職し四半世紀を経ましたが、この間、時代は大きく様変わりをし、動物愛護も然りでした。多岐多様なグループが登場し、多方面の切口より活動を展開していますが、たとえどのような活動であっても、動物愛護を標榜する以上はそれが人と動物が仲良く上手に共生するための手立てとなるべきことは不変なはずです。ところが、現実は全国いたるところでグループと一般住民及びグループ同志の確執があとを絶たないのです。まさに本末転倒です。
その原因としては、多様な立場にある人々の事情を配慮せずに唯我独尊に主義主張を押しつけたり、相互の協力・親和を図らずに他グループと中傷合戦したりすることが横行するからです。旺盛な熱意はともかく、識見(バランス感覚)に問題があるかと思われます。人と動物との関わり合いは、偏向した原理主義や理論武装によってではなく、健全な社会常識のもとに、あくまでも明るく伸びやかにことを進めた方がうつくしい。

 一例を、所有者のいない「ねこ」問題に特化してご紹介いたします。実は、当該については今や首都圏・地方を問わず全国的に噴出し留まるところを知らない現状にあります。その結果、動物愛護の基本指針を示した政府やその推進計画を策定する都道府県さえも、イザ具現化となるといささか腰がひけがちです。近年は、犬を遥かに越えて殺処分されていますが、決してねこが悪い訳ではなく、あくまでも人災なのです。即ち、問題解決に対する官民一体及び民間同志のフレームワークができてないのが原因の一つで、誤解を恐れずに言えば、時にそれを妨げているのは、ねこたちにエサを与えている人たちなのです。真摯な個人的活動には深甚なる敬意を表してはいますが、一方では絶えず社会批判や行政批判ばかりに終始し、肝心な蛇口を締める努力(無責任な猫の飼い主に対する啓発)が疎かになっているのです。声を枯らして、室内飼い・不妊手術・個体識別措置の3点セットの推進に取り組んでいただきたい。そして、避妊・去勢に対する行政からの助成金を獲得し、併せて猫の登録制度の実現をめざし、可愛い猫たちの将来にわたる健康と安全を守るべきです。


 いよいよ冬本番です。旧年末にトリミングを施したアイツはと言えば、自慢の長毛をカットされて寒いのか、このところデカイ体をマリ(?)のように丸めて寝ています。身体の表面積をできるだけ小さくして放熱を防いでいるのでしょう。しかし、これは「ベルグマンの法則」通り、哺乳類の体形は熱帯では体重当りの体表面積が大きく、寒帯では小さくなるという説にも合致していることなのです。アイツ共々に厳しい寒さを乗り越え、明るく伸びやかに、風が光る春のおとずれを迎えたいと思っています。

財団法人日本動物愛護協会理事・事務局長 会田保彦

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