テングザルはボルネオ島に生息する、オナガザルの仲間である。
熱帯雨林がうっそうと茂るボルネオ島。この島に暮らすサルの仲間としては、“森の人”と呼ばれるオランウータンの存在で有名だが、独特の大きな鼻をもったテングザルも、カニクイザルやテナガザルとともに、この自然が豊富に残った島で暮らしている。
名前の通り、天狗のような鼻をもったサルで、大きな鼻をもっているため、その顔つきはみようによっては人間らしくもある。群れで行動している樹上棲のサル類だが、木から木への渡り方が、ダイナミックなことで知られている。渡る枝を見極めてそこに向かってジャンプし、木の枝に強引にしがみつくという移動法だ。1頭が通った後を群れの仲間が次々と続き、こうして樹上を移動する。その様子はまさにジャングルの天狗とでも呼べるようで、渡るときには相当な音が、ジャングルに響き渡るという。
熱帯雨林のジャングルに生い茂っている木の葉の、それも高いところにつく若葉を食べており、その習性のためリーフィーターと呼ばれている。木の葉を主食としているため、テングザルの仲間は二つにくびれた特異な胃袋をもっており、そこに木の葉の消化を手伝うバクテリアを住まわせているという。木の上で就眠し、もっとも高いところでボスザルが寝て、思い思いのところにその他のサルがねぐらを作って就眠するのだという。 |