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高山に棲むライチョウ
高山に棲むライチョウ
高い山に暮らすライチョウ。彼らの姿は夏と冬で大きく変化するので有名である。

 ライチョウはキジの仲間で、いずれも北半球の寒帯や亜寒帯に分布している。日本では本州中部の標高2000〜3000mの高山帯の寒冷地に生息し、高山の環境や、激しく変化する季節の移り変わりに適応しながら暮らしている鳥である。  周囲が深い雪におおわれている季節になると、それまでの茶色がかった夏羽は、純白の冬羽に変化し冬の姿となる。これはもちろん周囲の雪の色に溶け込み、敵に見つかりにくくする保護色となる。さらに冬の寒さをしのぐため、換毛にあわせて羽毛の量も増やすという。  一面が雪に被われ尽くされる、食料の乏しい厳しいこのシーズン。彼らは群れを作って暮らし、雪の下に埋もれてしまった植物などを食べる。また寒さをしのぐため穴を掘り、そこに体を埋めて過ごすこともあるようだ。春の訪れを告げる3月から4月、冬の間白かったライチョウの羽は、換羽により雪解けにより現れた地面の色に溶け込むように、茶褐色から黒褐色になる。  繁殖期に入る頃、群れの中の強いオスから順に縄張りを形成し、オスはメスの前でディスプレイすることで繁殖相手を獲得しペアを作る。卵を暖めるのはもっぱらメスの仕事だ。オスはなわばり内を見渡せる場所に留まり、あたりを警戒する。そして初夏にヒナが誕生すると、オスはそれまで守っていたその縄張りを解消する。その後のヒナは、メス親とハイマツや高山植物の花が咲く草原周辺で生活し成長する。夏といえども気温の低い高山地帯では、ヒナは自分で体温を調節できずに寒さのため死んでしまうことになる。そのためメス親は、一定の間隔で地面にすわりこみ、ヒナをあたためるという行動を繰り返す。こうしてヒナはメス親とともに成長し、来たるべき冬に備えて親鳥と同じぐらいの大きさへと育っていく。  このライチョウは、すでに中央アルプスと白山では絶滅した可能性が強いとされている。また南アルプスを除いた地域でも、その数は減少している。これは温暖化やそれに伴なう環境の変化が影響していると考えられている。

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