独特のルビー色の眼をもつために、「アカメ」と名づけられた魚がいる。
大型になるスズキの仲間で、1mを越えるものもいるという。和歌山や宮崎県の河川河口付近に多く分布しているとされる、日本固有の種だ。実際の目は黒いが、暗い場所や夜では、光を反射してルビーのように赤く輝くように見える。
アカメは幼魚の間は主に、海の水と川の水が交じりあう汽水という独特な環境に生息している。成魚になると主に海付近でみられるが、成魚でも雨が降った後などは、河口付近に集まることで知られている。
以前は、日本に分布するアカメと東南アジアに分布するシーパーチ、あるいはオーストラリアのバラムンディは同じ種類とされていた。確かによく似た魚で、その生態も類似しており、いずれも汽水域を中心に生息する魚だ。しかし研究者によってその違いが明らかにされ、日本のアカメに関してはジャポニクス(japonicus)の学名が与えられた。細かい区別点はいくつかがあるが、一番容易な見分け方としては、しりビレの棘をみるとわかる。アカメでは前から2本目の棘がわずかに長いが、シーパーチやバラムンディでは3本目の棘が最も長い。アカメのグループはいずれも赤道をはさんだあたりを中心に分布しているが、その中でアカメだけが、かなり高緯度に分布することになる。
限定された地域にのみ分布する魅力溢れるアカメだが、現在では河川の改修や護岸工事で環境が悪化したためと、それによる餌となる小魚の減少によりその数を減らしている。その結果希少種として、レッドデータブックで取り扱われている。 |