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無数にいた鳥が、1羽もいなくなった時。
無数にいた鳥が、1羽もいなくなった時。
かつては北アメリカ東部に無数にいたとされているカロライナインコ。しかし今日その姿をみることはない。絶滅してしまったためである。それも環境の悪化というよりも、人間の捕獲による面が大きいようだ。インコやオウムといった鳥は果実などを餌にしているため、暖かい地方を中心に分布している。北アメリカにいたカロライナインコはそうした意味で珍しい存在だったが、餌はやはり果実だった。そのため果樹園を営んでいる人々にとって、まず害鳥とされた。食肉や羽飾りにするために、猟銃でひたすら捕獲されていった。そしてついには飼育されていたインコが他界するのと同時に、この地球上から1羽もいなくなってしまったのである。

今日の日本では、トキという鳥の存在とその将来が注目視されているが、生物の絶滅というのは人の力が介在すればあっというまであるという事実が、かつての北アメリカにあった。リョコウバトとカロライナインコの絶滅の歴史がそれである。両者ともかつての北アメリカ東部に、かなりの数が存在していた。リョコウバトにいたっては、鳥類の歴史の中にあって、最も多くの数が地球上に存在したとまでいわれている鳥である。それが人間が捕獲することにより、みるみると減少した。その捕獲量は半端なものではなかったようである。カロライナインコも同様に枢機な運命をたどった鳥のようである。

もともとインコやオウムの仲間は派手な色をしており、いずれも熱帯地方を中心に分布していた。アメリカ熱帯地方やアフリカ、オーストラリアといった地域が主な分布域といえる。そうした中カロライナインコは独特の分布をしており、北アメリカの東部から南部にかけて生息していた珍しい種類だったようである。川沿いなどに生息しており、主に果実などを食べて暮らしていた。分布はかなりの広範囲に及んでいたようで、リョコウバトにまでは及ばないものの、その数は相当な数であったのは事実のようである。

それが地球上から姿を消してしまった。1羽もいなくなってしまったのである。1800年代の初めのことである。北アメリカへと移住してきた人間により、その多くが捕獲された。先にもふれたように、このインコの食性は果実である。当時果樹園を営んでいた人々によってカロライナインコは害鳥扱いされ、とことん撃ち落とされたようだ。確かに大群をなして果実に群がるインコたちは、そうした人々にとってはやっかいな鳥であったに違いない。丹精こめた果実が、食べつくされてしまうのだからたまったものではない。多くのカロライナインコが、猟銃の弾の餌食になった。肉は食料とされ、羽は帽子などの飾りに使われた。この捕獲に関してはまさしく拍車がかかり、その数は激減していったようである。

一方で保護の手をさしのべた研究者たちもいた。カロライナインコを増やそうと試みたのであるが、そのもくろみはアワとなって消えたようである。急激にその数を減らしたカロライナインコだったが、人々はその捕獲を止めなかった。結果としてごくわずかが残るのみとなった彼らに対して、保護しなければいけないという動きが出たときにはすでに遅かった。かつては無数にいたとされるカロライナインコも地球上から姿を消すことになったのである。絶滅年は1918年。動物園で飼育されていたものがこの世を去った。やはり北アメリカに無数に存在した、リョコウバトについでの絶滅である。

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