ペットではないが、家畜として我々人間と深いかかわりをもちながら暮らしてきた、ヒツジ。彼らは人が暮らしていく上で、その肉を提供してくれたと同時に、暖かな羊毛をもたらしてきてくれてきた。
ヒツジはウシと同じ偶蹄目に属し、ヤギにも近縁な動物である。ウシと同じように草などの植物を取り、それを四つある胃を使って反芻(はんすう)しながら食べることでも知られている。草食動物の特徴ともいえる長い腸も発達させており、そのタフな胃と腸によって、餌にしている植物を消化吸収しながら暮らしている。
彼らが家畜として選ばれたのには、当然いくつかの要因があった。人間が利用しないような植物を食べながら成長して暮らすこと、群生する性質があったため多くの頭数を一か所で管理するのが可能だったこと、そして人間にとって管理しやすかったことなどがその理由として挙げられるようである。
化学繊維が全盛の現代だが、羊の毛を原料に作られた衣服が、古くから毛織物として親しまれてきた。いわゆるウールである。毎年春から初夏に、長く生え揃った毛を刈り込み、それを原料にして作る天然繊維だ。保温性が高いことで知られ、この季節にはセーターやマフラーなど、防寒具には欠かせない素材といえよう。
ヒツジは十二支のひとつとしてあげられているが、もともとは日本にはいなかった動物で、そのルーツは西アジアにあったものと考えられている。驚くべきことに、なんと8000年から1万年以上も前に、人間とともに生活してきたようである。
|