コウモリというと、超音波を駆使したエコーロケーションにより、昆虫などの獲物を捕らえる習性がよく知られている。だが、それは洞窟などに棲む小型の種類(小翼手類)の特徴だ。
オオコウモリたちのほとんどは有視界飛行をしている。それも薄闇の中をだ。そのために目が大きく、視力にも優れているといわれている。熱帯から亜熱帯にかけての暖かいところに分布するオオコウモリの仲間は、昆虫を食べる小型のコウモリとは食性などでも違っている。フルーツバットとも呼ばれるように、食べ物は果実が中心で、花、花蜜など、もっぱら植物質を食ベているのである。また小型のコウモリ類と違い昼間も洞窟のようなところには入らず、ジャングルの中で木にぶら下がって寝ている。さらには、昼間でも飛ぶことがある。
小型のコウモリのように超音波に頼った飛行ではないため、顔つきにずいぶん差がある。小型のコウモリは目が小さくアンテナのような耳をもっているのに対し、オオコウモリは目が大きく、耳はそれほど大きくない。つまり…可愛いのだ。目がくりくりとして、飛ぶキツネ(フライング・フォックス)とも呼ばれている。
ドラキュラのイメージがコウモリにオーバーラップしたり、実際に血を吸うコウモリがいたりすることから、この動物に不気味なイメージをもっている人もいるかもしれない。しかしこのオオコウモリのように、実際は草食主義者もいる。 |