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大河に暮らすイルカ。
大河に暮らすイルカ。
南米大陸を流れる大河アマゾン。川というには、あまりに大きな存在といえるだろう。見渡す限りの水の広がりは、まさに海をも彷彿とさせる。そんなアマゾン川に生息しているのが、コビトイルカの仲間たちである。

 コビトイルカの仲間たちは、中央アメリカの東部や南アメリカの北東部にかけての河川流域や湾、河口に生息する。アマゾン川にはこのコビトイルカのほかに、アマゾンカワイルカも生息している。名前が示すようにクジラの仲間の中でも最小の種類とされ、体長は1.3〜1.8mほどだ。 このほか河川で暮らすイルカの種類としては、ガンジスカワイルカ、インダスカワイルカ、ヨウスコウカワイルカなどが知られている。それらに共通するのが、生息する河川がいずれも巨大であるという点だ。  こうしたクジライルカ類の祖先にあたる種類は、およそ5500年前に陸上から水中へと生活の場を移した動物から進化したものと考えられている。またこの仲間は、牛などの仲間とも共通の祖先をもっているらしいことが、様々な根拠から予想されている。水中へと戻ったこの仲間たちは、徐々に水中での生活に適応していった。しかし陸上で暮らしていた彼らの水中生活への移行は、かなり大きな変化が必要だったのである。水という高密度な空間に適した機能をもった体形と違った運動方法の会得、異なる食べ物への適応、効率よい呼吸法など、色々な部分で適応することを余儀なくされたのである。  こうして、もともと顔の前方にあった鼻は頭上に移動し、顎や歯は食べ物の種類に応じて変化した。また、水中でのコミュニケーションの手段を発達させるため、メロンと呼ばれる特殊な器官を発達させた。その末裔のひとつが、このコビトイルカである。  彼らは中央アメリカから南アメリカに定着し、そこで暮らしている。生息する場所によって体色や体長、グループの頭数などが異なることから、かつて5種類いると考えられていたが、現在では1種にまとめられている。  コビトイルカにも集団性があり、一般に小さな群れを作るが、まれに50〜100頭の大きな群れを作って協力して餌を採ることもあるらしい。濁った流れの中を活発に泳ぎ回るが、潜水時間はあまり長くはないらしく、およそ30秒ほどとされている。直接食用にされることはないらしいが、体の一部に関して薬効があると考えられており、そのために捕獲されることが多い。さらに魚を狙った流し網など、人間の魚網にかかり死亡するケースもみられるようだ。加えて南米各地で展開される開発やダムなどの建設により、その存続が脅かされている。

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