2010年の干支「寅」にちなみ、今回はトラのお話です。
トラは、現在アジア大陸の東側を中心に生息しており、北の寒い地方に生息するシベリアトラから、インドネシアに生息するスマトラトラなど、生息地の違いから数種の亜種にわかれています。トラは主に密林などの茂みの多い場所に生息し、単独で行動して狩りを行います。狩りの仕方はチームを組んでじわじわと獲物に近寄るライオンとは異なり、茂みの中で獲物が近寄ってくるのをじっと待ちます。独特の“虎柄”は茂みで自分の姿を隠す際に非常に役立っているのです。
トラは昔からアジア圏で強い動物の象徴とされていました。また、ことわざや故事成語にも主に強いものの意味として「虎」が多く登場します。実際、トラは現存する陸上に暮らす哺乳類のなかでは3本の指に入る強さの持ち主で、ゾウの子どもやクマなどの、他の肉食獣が襲うことはない大型の動物を襲うことも報告されています。
そんな最強級の哺乳類トラですが、その強さゆえに人間によるスポーツハンティングの対象にされたり、「強さにあやかる」という理由で漢方薬の原料にされてきました。特に近年は生息地である森林の伐採の影響などもあわせて年々生息数が減っており、生息域の各地では保護区を設けるなど、保護活動が行われています。
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