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シャチをめぐる野生動物保護の難しさ。
シャチをめぐる野生動物保護の難しさ。
大海原を行く大型のハクジラの仲間、シャチ。かつては日本の近海でもみられたといわれている鯨類である。

 白と黒の大胆なツートンカラーが特徴的な動物だが、大海原で暮らすクジラの仲間に含まれる。いわゆる歯をもつクジラであるハクジラの仲間に含まれ、その中でも大胆な体色をしている。クジラやイルカの仲間に特有の、海中での会話の仕組みを発達させ、それを有効に活用することで、不透明な水中をも集団を乱さないで移動することが可能である。また彼らに特有のこのコミュニケーションは、グループ間での会話が異なることでも知られている。  メス親を中心とした群れを作って暮らす、トランジェントと呼ばれる移動型の集団と、レジデントと呼ばれる定住型の集団があることでも知られている。両者は遺伝的に異なる集団とされており、それぞれで捕食の対象も違うようだ。決まった範囲を移動する定住型の集団がニシンやサケ、マスなどの魚類を主食としているのに対し、比較的小さな群れをつくる移動型の集団は、クジラやアシカなどを襲って食料としている。 近年、クジラの捕鯨が、そのほかの海獣類の個体数の減少に影響を与えているのではないかという研究が、アメリカの大学によって発表された。クジラの数が減ったことで、シャチの捕食の対象がほかの海獣類に及んでいるという調査結果である。もともとシャチが食べていたクジラを人間が捕獲したことで減少したために、シャチの捕食の対象がアザラシやトドなどに移ったというものだ。これは50年間に及ぶ個体群の推移を調査した結果からわかったものだ。この報告の場合はクジラの捕獲を原因としているが、ある特定の動物を捕獲しつづけると、結果的にそれを餌としていた肉食動物の捕食対象がほかのものに移り、とのためほかの動物にも存亡の危機をもたらすという調査結果につながる。  自然界が食物連鎖のつながりの上に成り立っている以上、生物の保護はその対象だけに終始していたのではいけないということを示唆した事実といえるだろう。

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