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日本のトキ。
日本のトキ。
「キン」と呼ばれ唯一生き残っていた日本産の最後のトキが、先日他界した。人間に推定すると100歳を越える年齢で、そうした意味では大往生である。しかしこのことで、ニッポニア・ニッポンの学名をもつ日本産の鳥は、絶えてしまったことになる。朱鷺色という日本の伝統色がある。限りなく白に近い淡い紅色をいう。この美しい日本産の生きた鳥を、目にすることはもうない。われわれは最後の一羽の死に、多くを学ばなければならない。そうした境遇におかれた日本の野生動物は、多くが存在するからだ。

日本産のトキとして、最後まで残っていた1羽の鳥が亡くなった。生命であるからいつかは果てるものではあるが、それが現実となったのである。数が減りだしてからというもの、いつかはこの日がくるのではと懸念していたが、この1羽がなくなったことで日本に産したニッポニア・ニッポンという学名をもつ鳥はいなくなったわけである。

これまでにも豆知識では絶滅の恐れのある動物、あるいはすでに絶滅してしまった動物について紹介してきた。しかし現実のものとして、その終焉に立ちあうというのは非常に複雑な思いである。考え方はいろいろとあるだろうが1995年に最後に残されたオスメスのトキのうちのオスの「ミドリ」が他界した。これによって日本産のトキは滅びたともいわれる。

日本にちなんだ学名のあるトキだが、もともとはロシアと中国の境から中国、朝鮮半島にかけて生息していた鳥だ。それが羽根や肉を利用するために捕獲され数を減らすとともに分布域も減少してしまった。日本では1981年に佐渡に残った野生のトキ5羽を捕獲、トキ保護センターで保護を目的に飼育をはじめた。しかし、飼育下の繁殖はうまくいかず、先に触れたオスが死んだ時点でメス1羽だけが残される形になったのである。それ以前から日本同様にトキを保護している中国から、種を絶やさないためにトキがもち込まれ、人工下での繁殖が試みられた。

この最後の1羽の死亡により、日本産のトキの血は、後世に受け継がれることはなくなってしまった。もともとの減少へのプロセスには、当然のことながら人が介在している。先にも触れた羽根や肉を目的にした捕獲もさることながら、やはりなんといっても開発に伴う生息地の減少が大きいといわれている。そして今日危機的な状態にある日本の野生動物は、絶滅した彼らのほかにもたくさん存在する。

日本におけるトキの絶滅は、日本のトキという鳥の種が天寿をまっとうしてのものか、それとも人という存在が大きく影響してのものか、十分に考える必要があるのではないだろうか。最後の1羽のトキの名は、保護繁殖のため捕獲することになった人の名をもらい「キン」呼ばれていた。

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