ペットペット動物豆知識
エゾシカの数の管理が、オオワシに与える影響。
広げた翼が2メートルにもなる猛禽類。日本には北海道東部に、流氷とともに訪れるオオワシである。オオワシはロシア地方アムールからカムチャツカ、オホーツク海沿岸で繁殖するワシタカ類である。日本へは11月ごろやってきて越冬し、3月ごろ再び営巣地となるロシア地方へと旅立っていく。体はほとんど黒に近い暗褐色と白、強大なクチバシと鋭く曲がったかぎ爪のある脚は黄色で、ひと目見て勇壮な姿をしている。いかにも大型の猛禽類たる、堂々たる容姿だ。 一般にはオオワシの主食は魚とされ、それ以外にも獣や鳥類などを餌としているとされる。ほかのワシタカ類同様に眼は非常によく、彼方の獲物も見逃すことはない。そして鋭く曲がったかぎ爪で、獲物を捕らえる。また嗅覚を利用して労する必要のない、生物の死骸も食べる。そのオオワシだが、少し前までは冬場この地域で盛んになる、タラ漁で漁獲される魚を餌として利用していた。つまりおこぼれを頂戴していたのである。 このオオワシだが、やはりその個体数の減少が懸念される鳥類のひとつである。原因としては、繁殖地の森林の減少といった環境の悪化がまずあげられる。そして日本におけるアクシデントとして、送電線への接触による感電死などもあるようだ。さらにはエゾシカのの頭数管理による狩猟が、彼らの生存を脅かしていることが、今日問題視されている。散弾銃の玉に使用されている、鉛による中毒である。撃たれたエゾシカの死体を食べたオオワシが中毒症状を起こし、死んでしまう例が報告されているのだ。 増え続けるエゾシカの頭数を管理するため狩猟が行われ、その死体が放置された。これによりそれまで魚を餌にしていたオオワシの目が、この死んだシカに向けられたのである。結果として鉛が体内に入り、中毒死するようになってしまっているのである。 対応として代替弾(銅製の弾)の使用の推奨や、シカの亡骸の回収などが働きかけられた。その後法規制が設けられ被害は減少傾向にあったが、なかなか根絶するまでにはいたっていない。こうした対策を徹底していかない限り、彼らの行く末が心配である。現在オオワシはCITES(ワシントン条約)の附属書2として扱われており、レッドデータブックでは危急種として扱われている。現代を生きる我々は、日本における猛禽類の王様ともいっていいオオワシたちの雄姿を、後世にと引き継がなければならない。 |
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