インド、スリランカに分布するインドクジャク、そして中国南部からマレーシア、インドネシアに分布するマクジャク。いずれもオスの色が極めて美しい、キジ科の鳥である。図鑑などではその美しい飾り羽を一杯に広げた姿が掲載されているが、もちろん普段からいつもその状態にあるわけではない。メスへの求愛の時にそうした一連の行動をとるようである。つまり自分の姿をうより美しく見せて、自分の遺伝子をより多く後世につなげるためのポーズなのである。とはいえパートナーを選べるのはメスの方。ディスプレイの甲斐なくふられてしまうオスもいる。優雅な姿ではあるものの、けっこうたいへんのようである。
クジャクの存在を知らないという人はおそらくはいないだろう。それだけ有名な鳥である。動物園などでも飼育されているし、場所によっては観光資源として放し飼いにされているところもある。そしてクジャクの優雅さを際立たせるのが、あの羽を扇形に広げたオス鳥のポーズである。その様子が一般的なために、メスもあのような色彩なのかというと、さにあらず。キジの仲間に共通していえることだが、メスは地味な色彩をしている。それにしても広げてあれだけのボリュームのある羽である。邪魔にはならないのだろうか。もちろんこの飾り羽にも役割がある。繁殖期になり、メスを獲得するためのディスプレイに使われるのである。美しい目玉の模様のある飾り羽をメスにみせつけ、繁殖へともち込むわけである。とはいえこの羽を広げれば百発百中というわけではないようで、精一杯ディスプレイをしてももてるオス、もてないオスがいるようだ。何よりも選択権はメスにあるというわけである。そしてメスがどのようにしてオスを選んでいるのかは、以前から問われてきた。そしてイギリスの学者は、派手な飾り羽にある目玉模様に着目した。これが多いものほどメスに好まれるのではないかというものである。しかしそれを裏付けるようなデータは得られなかったようである。そして実際のところはというと、はっきりとした解釈はなされていないようだ。ディスプレイの姿、鳴き声、いろいろな要素をはらんでいるが、これだというものは特定されていない。美しいクジャクのオスの飾り羽だが、実際に生えているのは繁殖期だけ。つまり繁殖期が終わるの抜けてしまうのである。そしてまた翌年の繁殖期、再び生えてくるといったように、新しいものへと生え変わっているのだ。それに費やすエネルギーも大変なものがあるのではないだろうか。優雅オスのクジャクだが、その暮らしはどうやら楽でもなさそうである。 |