生きることになまける動物っているのだろうか?なまけたらそれなりのしっぺ返しがありそうな気がする。しかしそうしたニュアンスの名前をもった動物は存在する。ナマケグマもそのひとつだ。
分布しているのがインド、スリランカとされているので、インドグマあたりの名前であれば、まだよかったかもしれない。とはいえナマケグマが正式な和名である。森林地帯に生息していて、雑食性で昆虫やシロアリ、蜂蜜、花、果実などを食料にしている。ナマケグマにとって特に重要なのがシロアリの存在で、彼らの巣を見つけると長く湾曲した爪でそれを壊し、長い舌を使って巣の中のシロアリを吸い込むようにして食べる。体のつくりもそれに適した形になっており、シロアリを吸いとる長い舌はもちろん、毛のない突き出た吻部や開閉自在な鼻、吸い込みやすくなった歯の構造は、そうした食性に適応したものと考えられている。
彼らのその名前だが、ナマケモノに爪の形や姿が似ていることや、夜行性で昼間は寝ているとことなどからきているもののようだ。南米に生息しているナマケモノのしぐさが、本当にスローモーであることは、このコーナーでも以前触れた。それには徹底して代謝を抑えることで、その分エネルギーの補給をわずかで済ませるようにしたためという理由があった。しかしこのナマケグマでは事情が違う。食物を求めて行動し、シロアリをはじめいろいろなものを採食している。つまりけっしてなまけ者ではないわけである。もっともこの名前は人間側が勝手につけたものだから、彼らにとっては本当にどうでもいいものだろうが。
彼らも現地では、その生息数の減少が心配されてる動物のひとつである。実際には厳重に保護されているようで、彼らの生息している生活圏はサンクチュアリなり国立公園として守られているようだ。もちろんそうしたエリアにはほかの動物も生息しており、野生動物たちにとっては貴重な空間にもなっているようである。
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